321. 私たちに身近な金属 10円硬貨も95%純度の銅 この銅が希少金属であり枯渇が心配されている

 2010年 5月20日掲載  2014年 5月 5日再掲


銅という金属は、その電気伝導率の良さから、私たちには電線としてなじみがある。また、種々の銅器など、数々の日用品が銅金属から作られている。あの奈良の大仏も銅製である。また、銅は合金としても多く用いられ、10円硬貨などの青銅(ブロンズ)や航空機の機体材料として用いられるジュラルミンなどの重要な構成金属である。

その銅が希少金属であるとの新聞記事である。クラーク数は0.01%と地球上で25番目に多い元素であるが、その分布に問題がある。銅を多く含む鉱石からの銅の精錬は経済的に行われるが、その品位が悪くなってくると、そのコストが急激に高くなる。鉱石はあるが経済的に取り出しができないので、地球科学的に見て乏しい資源となる。

別子銅山(すでに閉山)の銅鉱石には銅が2%含まれていたとのことであるが、現在商用となっている鉱石は1%程度、経済的限界は0.7%程度とのことである。

今、米国や日本においては一人当たり年間10kgの銅を使い、中国は2000年時点で1.5kgの銅を使用し、この数値は10kgに向けて増え続けている。人口も多いので、中国はこの銅資源を世界から買い集めることになる。インドと中国の23億人が米国、日本並みの銅消費をすると、現在の銅生産量の1.5倍に相当する新たな銅の生産が必要と新聞記事は伝える。

銅はさびにくい金属であるので、今後リサイクルに比重がかかってくることになる。

なお、Wikipediaの記事を見て面白いのは、日本語版では「枯渇」の項目があり英語版ではその項目が無い。かわりに、英語版では「リサイクル」の項目があり日本語版ではそれが無い。


金属資源情報センター(JOGMEC)のホームページに多くの情報がある。


日本経済新聞 5月19日
「銅」不足、経済の制約に
 「レアメタル」のみが希少資源とは限らず
 銅鉱石は地球科学的に見て「乏しい資源」
 日本のリサイクル、コストで中国に負ける


(Wikipedia)
枯渇問題 銅は2040年頃に枯渇すると予測されている。ただしこれは、採掘コストに見合った採掘が可能な銅鉱山が枯渇するという意味であり、地球の銅埋蔵量はまだ十分にあると考えられている。したがって採掘技術の進歩や、採掘が容易な銅鉱山の発見によってこの問題は回避される可能性もある。

生産量
2007年
  1. チリ - 約556万トン
  2. アメリカ - 約120万トン
  3. ペルー - 約100万トン
  4. 中国 - 約89万トン
  5. オーストラリア - 約86トン
  6. インドネシア - 約80万トン
  7. ロシア - 約73万トン
  8. カナダ - 約60万トン
  9. ポーランド - 約51万トン
  10. ザンビア - 約48万トン
  11. メキシコ - 約32万トン
  12. ブラジル - 約20万トン
  13. パプアニューギニア - 約17万トン
  14. モンゴル国 - 約13万トン

Copper(Wikipedia)

Recycling(リサイクル)
Copper is 100% recyclable without any loss of quality whether in a raw state or contained in a manufactured product. Copper is the third most recycled metal after iron and aluminium. It is estimated that 80% of the copper ever mined is still in use today.

Insulated wire is also commonly recycled once the insulation is stripped off. High purity copper scrap is directly melted in a furnace and the molten copper is deoxidized and cast into billets, or ingots. Lower purity scrap is usually refined to attain the desired purity level by an electroplating process in which the copper scrap is dissolved into a bath of sulfuric acid and then electroplated out of the solution.




文書リストに戻る ホームに戻る