320. 日本においても特許が広く認められるようになってきた しかしその特許が認められるまでの期間は非常に長い

 2010年 5月19日掲載  2014年 5月 5日再掲


特許は難しいもののように感じられるが、だれでも発明をすることができる。その特許の要件は下に示すようになっている。

新規性を有すること。これは今までに知られていないということです。

進歩性を有すること。これはその発明の業界に属するの同業者が、なるほど、よくそんなことを思いついたね、というような創意工夫である。

日本経済新聞の5月17日付に「知財高裁5年 特許成立ハードル低く 進歩性認定の厳格さ薄まる」とのかなり大きな記事が載った。

閉塞感の深まる日本が、海外から企業を誘致するためにも、また国内の産業を育成していくためにも、各企業の権利をまもり、安心して業が営める国とすることが重要となる。記事の中でも次のように言っている。

「景気低迷に加えて技術開発しても特許が認められないとなると、日本は企業にとって開発投資を回収できない国とみなされ市場としての魅力を失う。日本の競争力を失う原因となっている。」

さて、特許は出願しただけでは権利としては認められない。出願に日から3年以内に審査請求をし、特許(権利)として認めてくださいと特許庁にお願いする。特許庁は、この出願を特許とすべきかどうかを審査官が判断することになる。日本はこの審査期間が非常に長く、約2年8カ月後位に1回目の回答が審査官より返ってくる。この回答でほとんどの場合、審査官は本出願が特許として認められない理由(拒絶理由う)を述べた書類を送付してくる。そして、その拒絶理由を解決できるように回答ができるか、審査官の認識の誤りを正すことができれば初めて特許として認められることになる。

日本の場合、この拒絶理由に回答できるのは基本的には2回である。それでも審査官が納得しなかったら拒絶査定となり。本出願は発明として認められないことになる。

それでも特許にしたい場合には、あるいは審査官の判断が明らかに間違っていると考えられる場合には、新聞の記事にある知財高裁に判定を依頼することになる。知的財産高等裁判所についてはこちらを参照のこと。

新聞記事は知財高裁で特許と認められる確率が約30%となったと報じている(2004年当時はこういうケースで特許となるものは3%程度)。

特許になると特許庁から特許証が発行されるが、ここには「前例がないので特許と認めます」と記してある。新規性である。

進歩性については、諸外国で認められる特許であっても日本ではなかなか認められない傾向にあった。日本の審査官が審査にまじめに取り組んでいるといえばそれまでだが、諸外国で見いだせないような前例を見つけてきて特許性が無いという場合も多いし、前例が見つからない場合にも「当たり前、従来の技術レベルから容易に発明できる」と言ってくる場合も多い。後者においては特許性があることの証明はなかなか困難である。頭の固い、そのように思いこんでいる審査官を説得しなければならないのであるから大変である。こちらはその道のプロとの自覚はあるが、審査官は広い範囲の多くの出願を審査しなければならないので、必ずしもプロではない。そのプロではない審査官に当業界の常識・基準を説明しなければならない。最近はやりの事業仕訳を見ているようだ。

しかし、新聞記事にもあるように、日本においても広く特許を与えようとの傾向にある。これも行きすぎると困ったもので、こんな前例があるのになぜ特許となるのか?というものまで特許になる場合がある。右から左へ、左から右へと極端から極端へと触れる日本社会の縮図でもある。

多くの権利が認められると、そこに重なりや、本来特許になるべきでなかった出願が特許となるために公正な事業を阻害することになる。特許権者からあらぬ警告や差し止め請求を受けた場合には、特許無効審判をおこない、裁判所で戦うケースも今後増えてくることであろう。



日本の特許制度(Wikipedia)

特許発明(特許法2条2項)として、登録されるためには、以下の登録要件を満たすことが必要である。

1.特許法上の発明であること(特許法2条1項)
2.産業上利用可能性があること(特許法29条柱書)
3.新規性を有すること(特許法29条1項)
4.進歩性を有すること(特許法29条2項)
5.先願に係る発明と同一でないこと(特許法39条)
等である。

その他に、公序良俗に反する発明(特許法32条)等は、特許を受けることができない。

特許法において、進歩性(しんぽせい、inventive step、inventiveness)とは、発明が、先行技術に基づいてその技術分野の専門家が容易に成し遂げることができたものではないことをいう。発明について特許を受けるための要件の一つである。




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