310. 書籍「日本経済の真実」への書評は非常に否定的です その書評の真実につき考えてみました

 2010年 5月15日掲載  2014年 5月 5日再掲


下に示したNo.7のレビューは、私のブログで紹介した「日本経済の真実 ある日、この国は破産します」に対するアマゾン書店中に掲載された本書に対する19件のレビュー(書評)の内の一つで、19件の中で一番多くの関心が示されているレビューす。一番下の書籍の絵をクリックすると見ることができます。

本レビューは、5月13日時点で254人の方より投票を得、その投票をした方の内187人の方が参考になったと言っています。そして、一日たった5月14日(24時間後)には262人の投票を得、200人がこのレビューが参考になったと答えています。

レビューはこれからこの本書を購入しようとする人が本書の内容を予め知るために読む、あるいは読書後に抱いた感想や疑問点を確認するために読む、などの役割を果たしていると考えられます。

このNo.7のレビューが、日本の読者(あるいは本書の購入を考える人)のかなり多くの人より支持を受けていることは、少なからずこのレビューの言っていることが正しいと感じている、あるいは書籍「日本経済の真実」で言っているようなことが起こらない(あるいは起こってもらっては困る)と思っている人が多いことを示しています。

私は、正しいとされていること、一見正しそうに見えることについて、一度自分自身のフィルターにかけてみて、その内容を確認してみなければ気が済まないほうです。そうしないと、何となく座りが悪いというか、気持ちが落ち着かないわけです。

そこで本レビューについても私なりに考えてみました。なにぶん、経済学に疎い私ですので、見当違いの理解をしている部分があると思います。ただ、この時点での私の理解をここに書き留めることは、何ヶ月後あるいは何年かごに本ブログを自分自身で見直し、その考えが正しかったかどうか、間違っていた場合にはどこがどのように間違っていたかの確認ができます。また、このブログをお読みいただいた方にその部分をご指摘いただければ、私の理解が進むことになり、もしそのようなチャンスを私に頂ければ幸いと考えています。



No.7 評価1 最も投票数の多かったレビュー
1)日銀が国債を買えば、ハイパーインフレになるのだそうですが、各国の中央銀行は大量の国債を買っております。今回の世界金融危機で景気対策のための国債購入などで各国中央銀行のバランスシートは激増しています。例えば英イングランド銀行は3倍近く、米連邦準備制度は2.5倍近くにもなっていますがハイパーインフレにならないのはなぜですか?

日本銀行が潤沢な資金供給により市中銀行に貸し出しをおこない、市中銀行が国債を購入しています。市中銀行にとってはその方が安全であり儲かるとの判断だと考えます。この構図では、日本銀行が間接的ではありますが国債を買っていることになります。

2)長期金利は現在の日本では1.3%ですが、諸外国は最低でも3~4%、多くはそれ以上です。日本にハイパーインフレが来るなら、どうしてこのような超低金利で長期国債が売れるのですか?(将来国債が紙くずになるのなら、こんな超低金利で長期国債を買うわけがないでしょう)

利率が高いということは、ある断面を見ますと資金が求められているということです。日本は発展性がなく、現在安定に現状維持され、その維持に多くの資金を必要としないから低金利なのでしょう。ただし、これは歴史の一場面にしかすぎません。将来、日本にまったく発展性がないとなると日本の企業は海外に逃げ出し、海外の企業は日本に投資しなくなります。

資金需要がないから金利を低くしないと借り手がない。逆に低金利のお金でないと借りた企業の負担が大きく、倒産が相次ぐ。国債は国家が郵便局や銀行などをを通して計画的に購入するように仕向けている。

3)1989年のアルゼンチンのハイパーインフレと同じ事が日本に起きるかのごとく書いてありますが、アルゼンチンでは外貨が不足し輸入ができなくなった半閉鎖的経済で起こったことです。輸入が途絶えればすぐに物不足は起き、奪い合いが発生します。例えば輸入薬が無ければ死んでしまう人なら、どんなに高くても闇市からでも買うでしょう。日本はそれと正反対で、特定の商品の物価が上がればすぐに外国から安い商品が入ってきて、ハイパーインフレはあり得ません。同意されますか?

安い商品はドルベースで考えると安いのであって、ハイパーインフレ時にはドルに対して円の価格が下がってしまっていますので、日本国内では高い薬ということになります。しかも、その価格は日をおいて、あるいは夕方になると朝より高くなっているなどの事態となります。この議論、原因(円の価値が無くなる)と結果(物の価格が上がる、購買力が無くなる)の関係が、海外品購入に対して円は強いのでハイパーインフレは起こらないと論理的矛盾が生じています。

4)具体的に何の値段が100倍に上がるというのですか。家電製品ですか。米ですか。野菜ですか。車ですか。魚・牛肉・石油ですか。需要が急拡大し、生産(供給)が追いつかなくて品不足にならないと値段は急騰しません。具体的にどの商品がそのような極端な品不足になるのか説明して下さい。

解らない議論です。貨幣価値が下がれば、いままで100円で買えていた品物も、1000円出しても10000円出しても買えなくなります。

5)アルゼンチンのように深刻な外貨不足の国の例でなく、日本のように外貨をたっぷり持っている国で起こったハイパーインフレの例を挙げないと意味がないと思いますがどのようにお考えでしょうか?

外資(ドル)の取り崩しができますか? 信用力の怪しいドルをどこが大量に引き受けて物資を融通してくれますか? 大量に物資を手当てするときには、このドルの信用力に見合った割引がなされることになるのでは。その時、割り引かれては困るから米国が何らかの保証を行えば1ドルは1ドルとして使えるかと思いますが、米国にそんな力はあるでしょうか?




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