305. 口蹄疫(こうていえき)と手足口病(てあしくちびょう) 家畜と人に 症状は似通っているが致死率は異なる

 2010年 5月10日掲載  2014年 5月 5日再掲


似たような病気があるものである。共にウイルスが原因である。

口蹄疫はいま問題となっている。伝染力が強く家畜をダメにする。手足口病もその発生が時折話題となる。その症状はよく似ているが、原因となるウイルスの種類は違うようである。

ごく少ないケースであるが、口蹄疫が人に感染した例があるとWikipediaに記されていた。鳥インフルエンザを想起させる内容である。口蹄疫も人間への感染機会をうかがっているのだろう。それがウイルスの本質である。



読売新聞 5月10日

口蹄疫で家畜処分、国が損失全額補填

 宮崎県で発生している家畜伝染病「口蹄疫(こうていえき)」問題

 4月20日に口蹄疫の発生が確認されてから、同県ではこれまでに、疑い例も含めて計56施設で発生が確認され、殺処分頭数は牛と豚計6万4354頭に達している。うち、14施設約9700頭分の殺処分後の埋却用地が決まっていない。



口蹄疫(Wikipedia)
口蹄疫(こうていえき、学名 Aphtae epizooticae、英語: foot‐and‐mouth disease、通称FMD)は、家畜の伝染病のひとつ。偶蹄類(牛、水牛、山羊、羊、鹿、豚、猪、カモシカなど)やハリネズミ、ゾウなどが感染するウイルス性の急性伝染病。日本では家畜伝染病予防法において家畜伝染病に指定されており、対象動物は牛、水牛、鹿、羊、山羊、豚、猪。旧国際獣疫事務局 (OIE) リストA疾病。(2005年5月にOIEのリスト区分は廃止された)

この病気は伝播力の高さ、罹患した動物の生産性の低下、子牛の時の高死亡率(成牛になるのは1%以下)という特徴を持つ。罹患した家畜は感染の拡大を防ぐために、発見され次第殺処分される。また家畜の移動制限がかけられ、畜産物の輸出ができなくなってしまう。これらによる経済的被害が甚大なものとなるためこの病気は恐れられている。

ピコルナウイルス科 (Picornaviridae) アフトウイルス属 (Aphtovirus) の口蹄疫ウイルス (foot‐and‐mouth disease virus, FMDV) によって発生する。

人間への感染
人は口蹄疫ウイルスの感染にきわめて抵抗性があり、感染はむしろまれである[3]。これは、現在および過去において多くの国で家畜に口蹄疫が発生していて、かつ口蹄疫ウイルスに野外でも検査室でも暴露される機会が多いにも関わらず、人間に口蹄疫ウイルス感染による健康障害がまれである事からも理解されている[3][4]。

農水省は口蹄疫の報道発表文の冒頭に毎回

口蹄疫は、牛、豚等の偶蹄類の動物の病気であり、人に感染することはありません。

という文を付けている(下線は原文ママ)。

稀に感染しても人間での症状は、家畜のそれと違い、おだやかである[4]。潜伏期間は2〜6日ほど[4]。発熱、喉の痛みが起き、足・口内・舌に水泡ができる[4]。最後に水泡が出来た日から約1週間で急速かつ完全に回復する[3][4]。人での持続感染は知られていない[3][5]。また死亡した例も知られていない[3][5]。40例以上の人間の感染例から見つかったウィルスの型はO型が一番多く、次にC型が多い。A型は稀であった[3][4]。

人間への感染は家畜との接触の多い酪農従事者、畜産農場従事者、獣医師、などに認められる。感染による症状自体は問題とはならないが、しかしウイルスの保菌者となり、他の動物への感染源となる事がむしろ問題となる[3][6]。人から人への感染例は報告されていない[4]。

人の手足口病 (hand‐foot-mouth disease) とはまったく関係ない。



手足口病(Wikipedia)
手足口病(てあしくちびょう、英Hand-Foot-Mouth disease、略称HFMD)は、ピコルナウイルス科のエンテロウイルスの一種が原因となっておこるウイルス性疾患である。病名は手のひら、足の裏、口内に水疱が発生することに由来する(後述参考)。

原因となるウイルスに、コクサッキーウイルスA16やエンテロウイルス71などが挙げられる。

本症は中等度の感染力があり、粘液や外気からの直接感染または感染者の糞便により伝染する。




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