273. B型肝炎、C型肝炎は社会的問題 注射器の回し打ち原因説の結末はいかに

 2010年 4月25日掲載  2014年 4月28日再掲


いま社会的な問題となっている肝炎。いつどこで発症したかの証明が難しいだけにその裁判は政治的決着となる公算が大きい。特にB型肝炎は血液を介して感染することにより、性的交渉の可能性も捨てきれず、社会的にも公表しにくい病気となっている。姫路の原告だけが唯一実名を明らかにしている。

小学校時代の予防注射は確かに注射器の使いまわしであった。誰の後で予防注射を受けたかで肝炎になった場合、これはロシアンルーレットと同じである。

本件の発病に至る因果関係をはっきりとさせるのは実に難しいが、国は患者の高齢化を念頭において、早期の決着に至ることを願う次第である。なお、本訴訟やB型肝炎、C型肝炎の多発化を受けて、国は無料で肝炎検査を実施している(下記URL参照)。健康な方もこの機会に検査されてはどうでしょうか。念のために。



■B型肝炎訴訟

 最高裁が2006年、札幌市の原告5人について集団予防接種と感染との因果関係を認定し、原告の勝訴が確定した。しかし国は患者全体を救済する具体策を示さず、08年以降、全国で計419人が順次提訴している。国側は「母子感染や成人後の感染の可能性もある」と主張してきたが、札幌地裁が3月、和解を勧告。原告、国の双方に、5月14日までに判断するよう求めている。


http://www.47news.jp/CN/201004/CN2010042401000594.html

B型肝炎訴訟で閣僚ら会合 和解勧告受け  4月24日
 全国10地裁で係争中のB型肝炎訴訟で、札幌、福岡両地裁が和解勧告を出したことを受け、関係閣僚が24日、都内で会合を開き今後の対応を協議。長妻昭厚生労働相は終了後、記者団に「あらゆるケースをシミュレーションしている。(原告、国民の)皆さんの理解が得られるようにしたい」と述べ、今後も協議を続ける考えを示した。

 訴訟で、原告側は「集団予防接種の注射器使い回しが感染原因」として国に損害賠償を請求。さらに国に対し、原告以外の感染者も救済するよう主張している。

 24日の会合では、札幌地裁の次回期日が5月14日に迫っていることから、救済する被害者の範囲や賠償額の想定などを行い、和解勧告への対応について話し合ったとみられる。


http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0002888108.shtml

私たちには時間がない B型肝炎訴訟・姫路の原告  4月18日

集団予防接種の注射器の使い回しが原因でB型肝炎ウイルスに感染したとして、全国の患者らが国を訴えた損害賠償訴訟で、姫路市の男性が兵庫県内で唯一、実名を明かして参加している。男性は慢性肝炎から肝がんになり、妻から生体肝移植を受けた。「争っている間にも患者の病状は進む。わたしたちには時間がない」。大阪訴訟は23日に口頭弁論が予定され、札幌、福岡に続き、和解が勧告されるかどうか注目される。

 大阪訴訟の「原告番号37番」、江口好信さん(59)。

 1987年7月、献血をしようとして、B型肝炎ウイルスを体内に保有する持続感染者と判明した。それまで大病を患った経験はなく、輸血を受けたこともなかった。

 B型肝炎ウイルスは、血液を介して感染する。成人は感染しても、ほとんどが一過性で抗体ができるが、母子感染や乳幼児期に感染した場合、免疫が未熟なため、持続感染者となることがある。

 その後、江口さんは慢性肝炎を発症した。容体は次第に悪化し、十数年で肝臓がほとんど働かなくなった。主治医は「助かる道は移植だけ。ただ、手術の成功率は3割程度」と告げた。

 「わたしのをあげる。うまくいくよ」。妻の真知子さん(55)が肝臓の提供を申し出る。江口さんは何も言えなくなり、涙がこぼれた。

 2007年1月、京都市内の病院で手術を受け、一命を取り留めた。しかし手術には健康保険が適用されず、支払いは約1600万円に上った。拒絶反応を抑えるため、免疫抑制剤を一生飲み続けなければならず、インフルエンザなどの感染症は命取りになる。

 手術後、患者会を通じてB型肝炎訴訟を知る。「もしかして…」。母親が生前入院していた病院のカルテを取り寄せたところ、B型肝炎ウイルスの検査結果は陰性だった。これで母子感染の疑いが消えた

 「予防接種以外、思い当たる節がない」。提訴に踏み切ったのは昨年6月のことだ。

 訴訟は全国10地裁で争われ、3月、札幌と福岡で和解勧告が出た。国はまだ態度を明らかにしていないが、大阪訴訟の原告団も和解を望んでいる。江口さんは「国は問題をきちんと受け止め、患者が安心して治療を受けられる制度をつくってほしい」と話す。


肝炎(Wikipedia)より
B型肝炎 - 垂直(母子感染)、性行為感染(性感染症のひとつとも分類されている)
C型肝炎 - 血液感染(麻薬の注射器での回し打ち、刺青、輸血、血液製剤等)



http://web.pref.hyogo.jp/hw12/hw12_000000082.html

『兵庫県緊急肝炎ウイルス検査事業』
これまで、B型肝炎、C型肝炎ウイルスの無料検査を健康福祉事務所(保健所)で実施してきましたが、肝炎に対する関心の高まりを受け、平成20年度から検査の機会を拡大しています。
実施に協力していただく医療機関(実施医療機関)において検査を受けることができます。

<事業の概要>
◇ 検査項目は?
B型肝炎ウイルス検査/C型肝炎ウイルス検査
◇ 対象者は?
次の項目をすべて満たす方です。
1 兵庫県内(原則として神戸市、姫路市、尼崎市、西宮市を除く)に住所を有する方
2 肝炎ウイルス検査を未だ受診していない方
3 20歳以上の方。ただし、40歳以上は、原則として市町や職場で実施する肝炎ウイルス検査の受診機会がない方に限ります。
◇ 検査費用は?
無料です。(国と県で負担します。)

◇ 検査を受けられる期間は?
期間は、平成23年3月31日までです。





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