271. ブラック企業、世にはばかる 危険を察知して近づかないこと 就職難のこのご時世、地雷を踏むことも

 2010年 4月25日掲載  2014年 4月28日再掲


ブラック企業という言葉はあまり表に出てくることはなかった。Webサイトで「ブラック企業」や、「ブラック」と特定の「会社名」を掛け合わせると、2チャンネルなどでどのようにブラックであるのかの具体的な情報が得られたりもする。

日本は新卒採用である。卒業した年の景気により新卒者の運命が大きく左右される。平成元年や2年の好景気の時には、言葉は悪いが、「頭さえ付いていたら採用」ということで新卒者が引っ張りだこであったし、バブル崩壊後においては幾ら優秀な人材であっても就職に苦労する時代が続いている。

アルバイトで生計を立てている人やフリーターは世間から白い目で見られることも多いが、この人たちも犠牲者である。私も就職時が石油ショックの直後で、前年までの好景気と裏腹に、ほとんどすべての企業が門戸を閉ざし、頼みの綱の公務員採用枠まで極端に絞られた経験を持つ。なんとか就職ができたが、同窓生の就職先は変化に富んでいる!

さて、掲題の書籍においてはブラック企業が3つ(下のタイプ1〜3)に分類されている。地雷を踏まないためにも、就職に先立って企業研究を深め、人生目標に合った企業を探すことが重要である。本書でも述べているが、日本は新卒採用である。一時、通年採用や中途採用が必要と言われたこともあったが、一向にそのようにはならない。

中途採用、西欧諸国や中国、台湾などでも会社を移って行くことでキャリアアップしていくが、いや、逆に能力があるから会社を移っていくが、日本では仕事ができないから会社を移ったとみられることが多い。出向などがその典型である。

今のように閉塞感が漂った日本の社会でキャリアアップのために会社を移るのはなかなか難しい。また、キャリアアップするためには、勤めた会社でキャリアアップにつながる仕事を経験する必要があるが、その第一歩である就職がままならない現在の日本社会においてはキャリアアップどころではない。

まずどこかの会社に籍を置くことに精いっぱいとなるあまり、ブラック企業の罠に落ちることになる。少なくともこの罠の存在を知り、こんなはずではなかったとの後悔だけはしないようにしなければならない。そのためには、大学入学当初より、どのような会社があるかを研究しておく必要がある。



紀伊国屋書店の書籍紹介より

書籍「ブラック企業、世にはばかる」

外見はマトモなのに、内実はとんでもないブラック企業。
あなたの職場は、次のいずれかに該当するだろうか?「新卒使い捨て」の肉食系、成長のチャンスを奪う草食系、大手だけど「時給がマックやコンビニ以下!?」のグレーカラー。
このような職場に苦しんでいるのは、決して若者だけではない。
いま勝ち組企業に勤める中高年も、いつ「明日はわが身、いやわが子の身」となるかもわからない…。
本書が描き出すブラック職場はフィクションではない。

プロローグ あなたの隣のブラック職場
タイプ1 肉食系ブラック職場―「新卒使い捨て」業界の現実
  人は仕事をする装置/IT業界が抱える構造的問題/身の丈に合わない激務/これは現代版の搾取だ/・・・・

タイプ2 草食系ブラック職場―成長のチャンスを奪われる若者たち
  優秀な才能が持ち腐れ/スキルアップの見込みがない職場/尻拭いの敗戦処理ばかり/・・・・

タイプ3 グレーカラー職場―大手優良企業のなかの“隠れブラック”
  時給換算すれば「マック」以下/キャリア官僚や金融若手エリートも大変/・・・・







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