251. 製薬2010年の試練 特許切れ集中 わかっていたこととはいえ時期(巡り合わせ)が悪い

 2010年 1月27日掲載  2014年 4月19日再掲


かつて2000年問題というのがあった。これはコンピュータに関するもので、まだコンピュータの処理能力が小さかった時代に、メモリーを稼ぐために時間の処理を西暦の下2桁で実施していたために、2000年を迎えた途端にコンピュータ処理ができなくなるというものであった。これについては、事前に多大な努力が払われ、ことなきを得た。

ちょうどそのころ、静かにささやかれていたのが、2007年問題と2010年問題である。

2007年問題はベビーブーマーの大量退職により熟練の働き手がいなくなり、技術伝承ができなくなるとの懸念であった。その後、日本の景気の低迷による大量リストラや、中国の技術的追い上げなどによりこの話題は小さくなっていったように思う。

一方、まだ10年先と思っていた2010年問題の年がついにやってきた。本日の日本経済新聞に、「製薬2010年の試練(上)特許切れ集中 開発重視、成果には時間」との見出しが躍っている。

1999年当時には、武田薬品の3大薬品(3品で全売上高の6割を占める)の特許切れが2010年あたりで起こることが話題となっていた。その当時は、今のようにデフレ経済が進み、今のようにジェネリック医薬品(後発薬)が重用され、医薬品が安くなる時代が来ようとは”想定外”であった。

日経新聞 1月27日の記事によると日米欧の医薬品株の収益率が低下している。

日本経済新聞 1月27日より






2010年問題(Wikipediaより)

2010年問題とは、医薬品業界において2010年前後に大型医薬品の特許が一斉に切れ、各メーカーの収益に重大な影響をもたらすと懸念されている問題である。特許切れする大菜薬品。

2008年
 フォサマック - メルク
 プログラフ - アステラス製薬
 アムロジン/ノルバスク - 大日本住友製薬、ファイザー製薬
 オノン - 小野薬品
 ラジカット - 田辺三菱製薬
2009年
 タケプロン - 武田薬品
 ハルナール - アステラス製薬
2010年
 コザール - メルク
 アリセプト - エーザイ
 クラビット - 第一三共
 パキシル - グラクソスミスクライン
2011年
 リピトール - ファイザー製薬
 アクトス - 武田薬品
2012年
 シングレア - メルク
 バイアグラ - ファイザー製薬
 ブロプレス - 武田薬品
2013年
 パリエット - エーザイ


文書リストに戻る ホームに戻る