237. 次世代無限エネルギー循環構想 「マグネシウム文明論」を読んで

 2010年 1月15日掲載  2014年 4月17日再掲


この1月に発売された書籍「マグネシウム文明論」を読んだ。著者は東京工業大学の現役の教授である矢部孝先生であり、専門はレーザー。

太陽光を集めてレーザーエネルギーに変換して、酸化マグネシウム(MgO)をマグネシウム金属(Mg)へと精錬し、このマグネシウム金属が水と反応するときに発生する熱と水素をエネルギー源として使おうという発想で、すでに研究はかなり進んでいる。

エネルギー取り出し後にはマグネシウム金属は再び酸化マグネシウムへと変化しているので、これを再度レーザーで処理すればマグネシウム金属へと戻せ、マグネシウムの資源循環が可能になる。

太陽光を就航した時に得られる熱では6000℃を達成するのがやっとであり、これをレーザーに変換して20000℃の熱を得るところがポイントとなっている。6000℃の熱ではMgO→Mgが進まない。

マグネシウムはニガリの成分としてもお馴染みの、海水に多く含まれる元素で、資源量に事欠かない。海水を効率的に蒸発できれば容易に集めることができる。海水を霧状に噴霧し、そこに太陽熱を作用させれば水が効率的に蒸発する。この原理を応用したのがペガサス浄水システムであり、多くの用途が期待されていると。株式会社ペガソス・エレクトラを設立し、売り込みを実施中で、すでに約1000台の納入が見込まれているとの記述あり。

マグネシウムは水と反応させて水素を取り出すことで、直接燃料として利用もできるし、マグネシウム-空気電池として利用すると効率のよい電気自動車用の電池とすることができる。この電池を利用した電気自動車はトヨタ自動車もひそかに開発中との記載である。

全体像は次のようになる。

     太陽光を集光 → ネオジムYAGレーザーに変換 エネルギー変換効率は20%

        希土類元素のお話よりネオジムはわりと豊富な希土類希少金属(レアアース)となっている。

希土類の埋蔵量
 希土類元素は、『稀』土類元素とも書かれるように、稀で高価な金属とされていました。しかし、実際には、セリウム(Ce)は錫(Sn)よりも多く、イットリウム(Y)は鉛(Pb)よりも多く存在しており、決して『稀(まれ)』ではなく、その特性を考えれば『希』望の元素と言えるのではないでしょうか。
 1985年にアメリカ鉱山局が発表した希土類の埋蔵量は4,500万tonであるが、世界の埋蔵量の80%が中国に偏在しているといわれています。しかし、これ以外にも世界各地から報告されており、約100倍の40億tonの埋蔵量があるとする人もいます。いずれにしても、希土類は豊富に存在していることが分かります。
 ネオジム(Nd)の産出量は希土類の約15%を占めていて、サマリウム(Sm)の約2%よりも豊富に存在しているため、ネオジ磁石が安価に生産されています。


     MgO + レーザーエネルギー → Mg + 0.5O2

 反応ガスを冷却すると固体Mgが得られるが、この段階でMgの再酸化(逆反応)を防止するため、反応ガスをアルゴンで希釈することが必要となる。
 ※ このアルゴンを効率的に、しかもロスなく回収・循環する方法が求められる。

     Mg + H2O → MgO + H2


p27に
 日本のエネルギー需要を満たすのに、効率30%の太陽電池を用いると、その必要な面積は日本国土の6%となる。曇った日もあるので、この10倍の面積、国土の60%は必要か。

※ さて、効率20%の今回のシステムでは、マグネシウムが金属で蓄えられるとしても、日本国土の9%に相当する面積の太陽光集光器が必要となる計算となります。矢部教授は、太陽の当たる外国でMgO→Mgの反応を行わせて、得られたMgを日本に持ち帰るMg循環を考えておられるようです。



世界は、石油文明からマグネシウム文明へ 2009年7月3日





ポスト化石燃料にマグネシウムを・エレクトラ(08/08/18)

          集光装置



          ネオジムYAGレーザー






太陽光を濃縮し、無尽蔵のエネルギー引き出す

          マグネシウム・エンジン





ベンチャー企業 株式会社エレクトラ
太陽光励起レーザーで高いエネルギー変換効率が得られることを実証



20年後に生き残る水資源開発を

       ペガサス浄水化システム  株式会社 ペガソス・エレクトラ 会長 矢部孝


文書リストに戻る ホームに戻る