115. 風車発電の世界でも技術革新が! 一気に発電能力が2〜5倍に

 2009年 4月30日掲載  2014年 1月20日再掲


今回、ニュースで取り上げられた風車は次のような形をしている。大型風車では3枚羽のプロペラが回っているが、その外側にプロペラを取り囲む覆いが取り付けられている。

5kW機の風レンズ風車


風車の理論はすでに研究されつくしていると考えられるが、どんな研究でも、これが最後ということはなく、研究により次から次へと新しい発見がある。これはそんな素晴らしい例のひとつである。

研究者は過去の事例にとらわれることなく、いろいろと試してみると新しい発明に至る証左でもある。

さて、従来の風車は、これはよく見かけると思うが、下のような形のものである。風力発電は高さ約7メートルで、3枚の直線垂直翼(縦2メートル、横30センチ)を備え、出力ワット数は145ワットとなっている。こちらも、通常の思考からはかなりかけ離れた形をしている。「なぜこのような形が良いのか?」と担当者に質問してみたこともあったが、明確な答えは得られなかった。その時は、実用や減価償却には遠く、デザイン性、エコに取り組んでいるとの広告塔の意味合い、と理解した。 

従来型の風車


その点、今回開発の風車は最初から実用化を狙ったものである。21世紀COEプログラム「水素製造への電源供給として風力発電の利用」に基づき開発された。記事に示されるとおり、従来型に比べ高い発電能力を有している。

水素社会の到来をにらみ、水の電気分解のための電力として、まだ実用化には遠いとは考えられるが、風力エネルギーを使うという点も評価できる。


水素製造への電源供給として風力発電の利用
九州大学 応用力学研究所 海洋大気力学部門
 教授 大屋 裕二







47News 4月30日
高効率の小型風車を開発 九大教授、中国でも活用
引用開始
 九州大応用力学研究所の大屋裕二教授(風工学)が、風車の周囲に特殊なカバーを付けることで、風車の大きさが同じでも発電能力が2−5倍になる小型の風力発電機を開発した。中国の砂漠化防止プロジェクトで活用されたり、福岡市が導入を予定するなど注目を集めている。
 風車の羽根1枚の長さが約1メートルと小型のものでも、平均風速が4−5メートルあれば一般家庭の年間使用電力量をまかなえるといい、大屋教授は「風が強くなかったり、スペースがない場所でも使用でき、風力発電普及の可能性が広がる」と話す。大型の風車への応用も検討しているという。
 小型で運搬に便利な点に注目した中国の清華大は2006年から、交通網が未整備な中国西北部の砂漠地帯のかんがいに利用。6基の風車で発電して地下水をくみ上げ、緑を育てている。福岡市も09年度に2基を市の施設に設置する予定で「将来的には分散型の電源として離島でも活用したい」と期待をかける。
                                      引用終了




さらに、
2009年6月4日掲載

ベルシオン式風車が回り、ベルシオン式飛行船が遊ぶ ベンチャー企業が新発想

技術の進歩には限りがないが、そのもとにあるのは人間の想像力だ。栃木県のベンチャー企業・グローバルエナジーの鈴木修二社長の新発想による専門家も驚く逆転の発想とか。

失速せずに飛行する、飛行船の飛行は圧巻である。


【詐欺か?新理論か?】ベルシオン飛行艇が空を飛ぶ
逆説理論で“開発” 宙に浮く飛行艇
引用開始
 世界が栃木県の片田舎で生まれた発明に大きな注目を寄せ始めた。驚異の飛行艇が現れた。
 その飛行艇は両翼がない。魚のマグロが3本寝たような形状である。
ほとんど滑走することなく垂直に近い角度で上昇し、180度旋回や横転を瞬時にこなす。
 圧巻は、空中停止。そのままゆっくり下降して着陸できるが、上昇や直進を再開することもできる。まるで水中を泳ぐ魚のように自由自在。見た者誰もがUFOの実在を信用するようになる。
 ≪全く新しい航空理論≫
 飛行艇の名は「ベルシオン飛行艇」だ。栃木県に研究施設を持つベンチャー、グローバルエナジーが開発した。
 視察に訪れた航空理論のある専門家は目の前で見ていながら信用せず「どういうトリックを使っているのか」と声を荒げた。通常の航空理論は機体に備わった両翼の上下間で、機体が直進滑走する際に発生する気圧差により揚力を発生させ、空中へ舞い上がる方式であるからだ。
 直進速度が落ち揚力が減少すると失速して墜落する。だが眼前の機体は空中停止し、両翼がないのだ。
 開発者の鈴木政彦会長は「空気をつかむ、という新しい考え方で飛んでいる。正統な航空理論を学んできた方は自己否定になるため信じないが」と笑う。
 “空気をつかむ”とは、両サイドの胴体で空気を逃がさないように空気抵抗を作り“抵抗の反作用で浮く”ことだという。 例えば、水泳は水をつかんで後方へ押しやる時の反作用で体を前へ進める。空気中も同じ。空中停止はさながら立ち泳ぎだ。
                                       引用終了

■ベルシオン風車のグローバルエナジー
http://www.globalenergy.jp/




飛行艇だけではなく、色々な動画があります。
http://www.globalenergy.jp/product/movi/movi.htm

ベルシオン式飛行艇の飛行(YouTube動画)





さらに、
2010年2月5日掲載

日本発風力発電用風車”ヘルシオン”がイノベーション創出コンテストで大賞受賞

日本政府の2020年までに1990年比CO2排出量25%減を受けて、多くの自然エネルギーの活用が試みられています。風力もその候補の一つですが、どのような設備を選ぶかで明暗を分けているようです。

かつては(10年前?)、ヨーロッパより輸入した風力発電機が宮古島に設置されましたが、台風時の風力が強すぎて風車がなぎ倒されたなどと、マンガみたいなニュースもありました。

最近は国産の風車の性能が上がってきました。ペルシオン風車は弱い風でもとらえられるすぐれものとのことです。
風が来ても十分な発電ができない風車や、低周波の風切音が問題になる風車などの中にあり、ヘルシオン風車は日本独自の技術として健闘しています。



日刊工業新聞 2月3日

ペルシオン型風車が『イノベーション創出コンテスト2009』 大賞受賞






YOMIURI ONLINE 2月5日

「風車」元助役にも賠償責任 つくば市住民訴訟控訴審


つくば市が小中学校に設置した風力発電機が十分発電しなかった問題を巡り、市民グループのメンバーが市を相手取り、市原健一市長ら3人に事業費相当額の計約3億円を賠償させるよう求めた住民訴訟の控訴審判決が4日、東京高裁であった。渡辺等裁判長は、当時の新エネルギー推進室長に約310万円の賠償責任を認めた1審・水戸地裁判決を支持したうえで、新たに当時の助役にも約465万円を賠償させるよう命じた。




さらに、
2010年11月25日掲載

風力発電は環境にやさしい発電方法 年率30%増で増加中 原子力発電と比較してみると・・・・

原子力発電所1基の発電能力は1ギガワットと記されている。ギガは最近コンピュータのメモリー容量記載でもおなじみとなっているが、10の9乗のこと。メガは10の6乗であるから、メガの1000倍を表している。原子力発電所の発電能力は、Wikipediaには100万キロワットなどと記され、これは100×10000×キロ(1000)=10の9乗となるので、1ギガワットのことである。

よくわかる原子力には、原子力発電所の建設にかかる費用、および得られる電力原価に関する記載がある(下図)。これによると、110万キロワットの原子力発電所1基の建設費が約3000億円と計算される。発電原価は10〜20円/kWhとなっている。



一方、特集記事の風力発電で100万キロワット(1ギガワット)の電力を得るには、1基当たりの発電能力が2メガワットとして500基の風車が必要となる。

記事によると、世界で昨年新たに加わった風力発電は、37.5ギガワット、5.5兆円である。これは、2メガワット風車約2万基に相当し、1ギガワットあたりの建設コストは約1500億円と計算される。この計算によると、風力発電の1ギガワットあたりの建設費用は原子力発電所の約半分(1500/3000)となり、しかもエネルギー源は風であるので、燃料のいらない発電が可能となる。さらに、原子力発電所のように、運転時の安全性や、使用済み核燃料の保管における問題もなく、自然にやさしい発電ということになる。

このたび、日刊工業新聞が風力発電について特集記事を組んだ。その中で、風力発電所の建設が毎年30%の勢いで増加していっていると記しているが、この増加は説明してきた理由より明らかであるかもしれない。風力発電に求められるのは、安定して風が吹くことであるので、立地場所を間違わなければ原子力発電所に勝てる発電方法として、今後、ますますその数を増やしていく可能性があるものと考えられる。

なお、参考までに、次のようなデータもある。





日本経済新聞 11月12日

クリーンエネルギー特集 経済性・環境性に優れる 風力発電



 地球温暖化への対応が新技術の創成や世界の産業構造の変化をもたらしている。再生可能エネルギーの中でも風力発電は経済性や環境性に優れたエネルギー源であるとともに、製造においてはすそ野の広い産業である。世界で新規に設置される発電設備の10%以上は風力発電が占めており、年商5.5兆円のビジネスに成長している。世界における風力発電は雇用創出に大きく貢献する産業であり、今後も年成長率20%以上が期待される魅力ある分野である。今や風力発電は世界を変えつつある。

風力発電の現状 年30%増の勢い
 風力発電の現状は2009年末までに世界には157.9ギガワットの設備が設置されている。09年の1年間だけでも37.5ギガワットが新規に設置され、年間で20―30%増の勢いで設置が進められている。設備容量としては原子力発電所1基の目安が1ギガワットであるから、世界には原発150基余りの容量に相当する風車が設置されていることになる。中でも、最近では中国の台頭が著しく、09年の1年間だけで13ギガワットが設置されている。

(以下に写真を交えて詳細記事が続く)

浮体式洋上風車−カギ握る設計技術
  国内の洋上ウインドファーム、ウインド・パワー
  ・かすみ風力発電所(富士重工業・2メガワット機)

垂直軸風車の規格−日本が国際提案
  複雑地形上のウインドファーム ウインドパーク笠取(日本製鋼所2メガワット機)

  三重大学内ビル上の垂直軸風車(シンフォニアテクノロジー・1.36キロワット)

風車の周辺技術−最新の風観測法
  市浦風力発電所の出力変動緩和制御型風力発電システムは
  エネルコン1.93メガワット機8台と、鉛蓄電池1500アンペアアワー×3456セル
  (2ボルト×288直列×12並列)で構成




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