111. DNA鑑定による科学捜査 犯人逮捕の決め手として奏功

 2009年 4月21日掲載  2014年 1月20日再掲


指紋による犯人特定に次いで、人間の体内指紋ともいうべきDNAでの捜査が犯人逮捕の決め手となってきている。

この背後には、DNAの増殖手段が開発され、さらにそのDNA配列の読み出しが機械を用いて自動的に行われるようになったことが大きい。

さらに、指紋ではパターン認識方法の開発とそのデータベース化、DNAではデータベース化、そしてデータベース中のデータの高速検索と、情報技術の進展が操作を支える部分も大きい。

粗暴犯罪は、高度な科学と進歩した情報技術によりその証拠を突きつけられる時代となった。



ITmediaNews 4月17日
“古い事件”を次々解決 精度高まるDNA鑑定
引用開始
 時効完成まで1年に迫った大阪OL殺人事件。容疑者が唐突に逮捕された。決め手は、精度が高まったDNA鑑定だった。
 1994年1月。大阪市内のホテルの客室で26歳のOLが頭を殴られ絞殺された。未解決のまま14年がたち、事件の記憶が薄れて時効まで1年を残した2007年のクリスマスに、唐突に容疑者が逮捕された。
 決め手はDNA。同年秋、ある男が民家に下着を捨てた。大阪府警が鑑定した結果、下着に付着する血痕と殺害現場に残る体液のDNA型が一致。何食わぬ顔をして日常生活を送っていた容疑者を突き止めた。
 DNAは血痕、体液、皮脂、汗、垢などから検出される。日本では92年に全国で導入。当初の鑑定数はわずか51件。03年に自動分析装置が導入され、資料がごく微量だったり古くても分析が可能となり、1159件まで増えた。
 06年には検査キットが新しくなり、同じ型の出現確率が03年の「1100万人に1人」から「4兆7000億人に1人」まで上がるなど、鑑定の精度は一挙に向上。昨年の鑑定数は3万件に上る。
 大阪の事件をはじめ、爆発的に成果を挙げ始めたのは、DNA型のデータベースの運用が04年に始まってからだ。昨年末までに、殺人、性犯罪、窃盗などで逮捕された容疑者3万9356人分を登録。凶器に付着した皮脂など、未解決事件の遺留物から検出されたDNA型も1万5160件ある。
 警察庁が一元管理し、各都道府県警察の照会を受けて調べる形で運用。昨年末までに、4585事件で、3407人の容疑者を割り出したり、余罪を追及することができた。「県境をまたいで発生する連続レイプ事件や、古い事件を次々と解決している」
                                      引用終了




さらに、
2009年4月21日掲載

DNA捜査で明らかとなる過去の犯罪捜査の誤り? 足利事件は冤罪事件に発展するか?

DNA捜査はパワフルなようです。


下野新聞 4月21日
足利事件、DNA型一致せず 菅家受刑者と遺留物
引用開始
 足利市で一九九○年五月、保育園児松田真実ちゃん(4つ)を殺害したとして、殺人罪などで無期懲役が確定した元幼稚園バス運転手、菅家利和受刑者(62)が無罪を訴えている再審請求の即時抗告審で、DNA再鑑定の結果、菅家受刑者のDNA型が真実ちゃんの着衣に付着していた体液と一致しなかったことが二十日、捜査関係者への取材で分かった。有罪の決め手となった鑑定と別の結果が出たことで、再審開始の可能性が出てきた。東京高裁は、月末に結果の正式報告を受け、再審開始の可否を決定する。
 高裁は昨年十二月、真実ちゃんの半袖下着に付着した体液と菅家受刑者の血液などを比較し、DNA型が同じかどうか嘱託鑑定することを決定。検察側、弁護側双方が推薦した鑑定人二人を任命した。
 鑑定人らは一月、自治医大で真実ちゃんの下着を切断、試料として受け取り作業に着手。同月、鑑定人らは菅家受刑者が収監されている千葉刑務所で、菅家受刑者の血液と口腔粘膜を採取。今月末をめどに結果を高裁に提出する予定で、鑑定作業を進めていた。
 下着に残っていた体液の量が少なく、保存状態も悪かったため、「鑑定不能」となる可能性も指摘されていた。
 関係者によると、検察、弁護側双方の鑑定結果で、真犯人が残したとされる真実ちゃんの下着に付着した体液のDNA型と菅家受刑者の型は一致しなかったとみられる。これにより、確定判決が見直される公算が出てきた。
                                   引用終了




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