83. 三菱化学がメタンから直接プロプレンを製造する技術を開発  すばらしい!

 2009年 2月23日掲載  2014年 1月18日再掲


プロピレンはポリプロピレンの原料や、アクリル酸(CH2=CHCOOH)の原料となる、工業的には非常に重要な化合物である。現在は石油のクラッキングで作られているが、その量が世界的に不足している。

この量を確保するために、エチレンとブテンを反応する方法が検討され、
  CH2=CH2 + CH3CH=CHCH3 → 2CH3CH=CH2

最近はエチレンからプロピレンを作る検討が精力的に行われている。
  3CH2=CH2 → 2CH3CH=CH2

本日の日本工業新聞に、三菱化学がメタンより直接にプロピレンを製造するとのニュースがあった。これは画期的なことである。式で書くと次のようになるか?
  3CH4 → CH3CH=CH2 + 3H2

メタンは都市ガスとして用いられ、石油に比べて発生エネルギー当たりの二酸化炭素発生量が少ないこと、また埋蔵量が多いことより、石油と徐々にその使用量が置き換わっていくエネルギー資源である。

新聞記事にはどの程度の効率(収率)でプロピレンが得られるかは記されていないが、いよいよパイロットプラント試験と記してあるので、十分に経済的な方法であると考えられる。


伝右の感じたこと:
 本ニュースは日刊工業新聞の第1面、トップ記事である。メタンからプロピレンが作れる。これは夢の技術であり、実現できると画期的である。本技術は過去の技術の延長線上にないので、その産業に与えるインパクトは大きいものと考えられる。次の参考ページを見つけた。

三菱ケミカルホールディングス
事業説明会 2008年12月9日





日刊工業新聞 2月23日
三菱化、メタンから直接プロピレン製造する新技術開発
引用開始
 三菱化学はメタンから直接、プロピレンを製造する新技術を開発した。メタンからプロピレンを製造する手法は現在、メタンからメタノール、さらにはジメチルエーテルへと3段階のプロセスを経る必要があるが、新たに開発した触媒と製造プロセスにより直接生成できるようにした。2010年中に水島事業所(岡山県倉敷市)に年産能力150トン規模のパイロットプラントを建設し、2011年ごろの商業運転を目指す。設備投資額は明らかにしていない。
 プロピレンは自動車材料、食品包装材など幅広い分野で使われ、石化製品のなかでも用途が拡大している高付加価値商品。石化製品の基礎原料であるナフサを熱分解して生成するのが一般的だが、生成量が少ない上、ナフサは原油価格の変動に左右されやすく、プロピレンの需要増を賄う新たな製造法が望まれている。
                                       引用終了




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