64. 大食漢のクジラをとれば漁獲高は増えるか? 世界はなぜ捕鯨に反対するのか?

 2008年12月28日掲載  2014年 1月13日再掲


3月に引き続き日本の調査捕鯨船が米国・ワシントンに籍を置く国際テロ組織団「シーシェパード」に襲われた。

日本への黒船来航(1853年)は、クジラ漁のための食料、水、燃料の補給基地を確保することが最初の目的であったとされている。クジラの油は鯨油といわれ、これは煤を出さずに明かりをともす灯油として米国で珍重された。

今では、捕鯨は動物愛護(としか思えない)観点から、日本とノルウェイを除く世界の多くの国が反対している。捕鯨禁止の本当の理由は、捕鯨によりクジラの個体数が減少したことにあるが、その個体数は捕鯨の制限により順調に増え続け、その結果異常繁殖へと近づいている。しかし、いまではクジラが全世界のペットの位置づけを確保し?、捕鯨禁止が打ち出された理由そのものが忘れ去られ、クジラは西欧独特の動物愛護精神に守られているとしか思えない。

日本捕鯨協会のホームページより クジラ類の個体数


下記Wikipediaによると、日本鯨類研究所より、クジラ類が食する海洋資源の量が世界でヒトが消費する量の3〜6倍であると試算されている。中にはヒトの食さない魚種もあると考えられるので、実際のところは地道に自分で統計を繰って確認することが必要であると感じている。しかし、報告されている数値に多少の増減があっても、クジラ類の海洋資源消費量にはすごいものがある。

世界の海洋資源は枯渇に転じ、現在、その国際獲得合戦が熾烈に繰り広げられているが、いよいよ枯渇が進むと、合理主義(ご都合主義)の西欧諸国が捕鯨賛成派に回り、捕鯨が解禁される日がやがて来るかもしれない。クジラを資源の目で見ると、牛や豚、鶏などの家禽類と同列になるからである。


シー・シェパード、今年も妨害 調査捕鯨船に異臭瓶
Asahi.com 12月27日
http://www.asahi.com/national/update/1226/TKY200812260359.html
引用の開始
 水産庁に入った連絡によると、日本時間26日午後6時すぎ、南極海を航行中の日本の調査捕鯨船団の海幸丸(860トン)に対し、反捕鯨団体のシー・シェパード(SS)のスティーブ・アーウィン号が右舷の側面から衝突した後、異臭を放つ液体や粉末の入った瓶15本を投げ込んだ。
 海幸丸は目視でクジラの生息頭数を調べるのを専門とする船。女性の声で「この海域から出ていきなさい」と日本語で伝え、海幸丸を3時間にわたって追跡したとされる。
                                   引用の終わり

その様子が日本鯨類研究所のホームページでビデオで見られる。

Wikipediaより 鯨が食す餌の消費量
引用の開始
 財団法人日本鯨類研究所の計算によると、世界中の鯨が食する餌の消費量は魚、イカなどの軟体動物、オキアミなどの甲殻類を合わせると、2.8〜5億トンとされている。これは、世界中の人間の魚の消費量9千万トンの3倍〜6倍と計算される。クジラが捕食するバイオマス(生物資源)の量は、捕鯨との関係から議論の対象となっている。
 然し、例えば南極で餌をとる南半球の鯨は年間数千万トンの余剰資源がある[7]とされるナンキョクオキアミを主として消費すること、マッコウクジラは主に深海の軟体動物を食べることなど、人間の漁業と直接は競合していない部分の方が遙かに大きい。
                                    引用の終わり




文書リストに戻る ホームに戻る