54. コンプライアンスとは何か? 企業の最後の砦が自ら簡単に壊れてゆく日本

 2008年11月15日掲載  2014年 1月13日掲載

最近コンプライアンスなる言葉をよく聞くが、日本語では「法令順守」という。法令を順守していたら企業における不祥事など起こるはずはないが、現実はご存じのとおりである。

そこで、コンプライアンスとは何者かを再確認することにした。


Wikipediaによるとコンプライアンスの意味は次の通りである。

コンプライアンスとはコーポレートガバナンスの基本原理の一つで、法律や規則などのごく基本的なルールに従って活動を行うこと。


また、英語の辞書によると

http://www.alc.co.jp/
compliance
【名】
〔規則{きそく}や要求{ようきゅう}に〕従うこと、〔規則などの〕順守{じゅんしゅ}、〔規則などに対する〕服従{ふくじゅう}、準拠{じゅんきょ}、従順{じゅうじゅん}、整合性{せいごうせい}
応諾{おうだく}、承諾{しょうだく}、協力{きょうりょく}
追従{ついしょう}、へつらい


やはり、規則や法律を遵守することとなる。


実戦的リスクマネジメント2 食料業界への不信(日刊工業新聞10月28日)によると、最近の主な食糧偽造事件は次の通りである。ここに漏れていてご存じの事例も多くあると思う。



この記事の結論としては、
企業が対応すべきことは、法令などの形式的要件の順守に腐心することよりも、まずは、「誠実」な経営を遂行し、社会に対して正確かつ適切な情報開示の徹底をはかることこそ、消費者に安心感をもたらし、その信頼を獲得することができる。
現場の実態に目を背け、安直に形式的要件としての規則やマニュアルを整備し、表面的なことばかり説明しても、むしろ無駄なコストがかかるばかりで十分な効果は期待できない(コンプライアンス不況)。

まさにこの通りであり、顧客への思いやりや制度運用の知恵の欠如が今日の問題を引き起こしていると感じられる。


もう一件、日経新聞の広告のページ「グローバル知財戦略とリーダーシップ」山本秀策特許事務所(10月30日)より、

日本の経営者の間では、コンプライアンスを法令順守と文字通り受け止め、法律違反がないかどうか社内を確認あるいは調査し、その結果だけでコンプライアンスが徹底できていると考える向きがあまりにも多いように感じます。これは全くの思い違いです。
真のコンプライアンスとは、単に成文化された法律を守ることだけではありません。顧客、従業員、さらに社会といった多数の人々から構成されるステークホルダーからの期待、要請に応え、満足度の高い製品、サービスを永続的に提供していくという、経営の王道を歩むことに他ならないのではないでしょうか。


コンプライアンスのあるべき姿がはっきりしてきました。日本企業には、法律を順守した上に、さらに顧客やステークホルダーを大切にしていく、謙虚な姿勢が求められています。



やさしくわかるコンプライアンス第1話 茶髪(チャパツ)って、コンプラ違反か!?
第2話 個人情報って、やばい
第3話 それって会社請求できるの?!
第4話 セクハラをほうっておけない!
第5話 接待づけは身を滅ぼす
第6話 クレームだっ!
第7話 パワハラは連鎖する
第8話 不具合につき交換いたします

企業法とコンプライアンス―“法令遵守”から“社会的要請への適応”へ第1章 企業法の基本的・体系的理解(企業法と憲法・民法・刑法;企業法の体系)
第2章 企業法として重要な5つの法(会社法;独占禁止法;金融商品取引法;知的財産法;労働法)
第3章 コンプライアンスの基本的手法(フルセット・コンプライアンスの5要素と相互関係;コンプライアンス問題に関する事実解明と分析;内部統制の法制化への対応;個人情報保護法;公益通報者保護法)
第4章 事例問題とコンプライアンスに関連する裁判例等の紹介(事例問題と解説;コンプライアンスに関連する裁判例等)




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