45. アマゾンの森では、慢性的な塩分の不足がCO2蓄積に寄与していた

 2009年12月25日掲載  2014年 1月13日再掲


以下に引用したナショナルジオグラフィックニュースの内容は衝撃的だ。アマゾンの森が、CO2を蓄え続けることができるのは、アマゾンの大地にシロアリや微生物のの栄養となる塩分が不足しているためであると記されている。

もし、微量の塩分がこの環境に加わると、すぐさまにシロアリや微生物による枯れ木などの分解が始まり、木材に閉じ込められていたCO2が大気に放出されることとなる。

自然のメカニズムは、繊細にして上手く出来ている。ここに、人の手が加わると、このように繊細な自然はいっぺんに大きく姿を変えていくことだろう。



以下、部分引用

ナショナルジオグラフィック ニュース
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アマゾンの塩分不足がCO2排出を抑制Christine Dell'Amore
for National Geographic News
November 5, 2009

http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=89769126&expand

 世界で最も“丈夫”な熱帯雨林と思われていたアマゾンのジャングルが、実は塩分不足による“慢性的な栄養失調”を抱えているとする研究が発表された。ただし、これは必ずしも悪いことではない。塩分の不足した森林では炭素の蓄積が促進され、地球温暖化が抑制される可能性があるからだ。

 熱帯雨林の奥地では、塩分などのミネラルの供給源は主に哺乳類の尿だけである。そのため、枯れた植物を貪って分解する“分解者”と呼ばれる生物は、生命の維持に必要なミネラルを十分に摂取できていない。

 塩分不足によって分解者の数が抑制され、その一方で塩分を必要としない植物は数が増え、その結果、植物が枯れると炭素が林床に蓄積されるのである。研究の責任者であるオクラホマ大学の動物学者マイケル・カスパリ氏は、「熱帯地方は、植物は住みやすいが、分解者にとっては住みにくい」と言う。

 同氏の研究チームがペルーの熱帯雨林で食塩水を撒いたところ、シロアリやバクテリアなどの草食性の生物がにわかに活気づき、落ち葉などの有機堆積物がまたたく間に貪り食われていった。「微量のナトリウムを生態系に投入するだけで、それまで蓄積されていた有機堆積物の分解プロセスがこれほど速まるとは、大変驚いた」。

 このようにしてミネラルなどの無機物を再循環することによって、森林がより実り豊かなものになるとともに、環境の中で炭素がスムーズに循環するようになる。これは生命にとって最も重要な循環のひとつだが、地球温暖化の大きな原因となる温室効果ガスである二酸化炭素が、植物の分解の際に排出されてしまう。




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