19. 食の安全が問われている中「純粋はちみつ」表示に疑義が生じ重点調査の実施に至る

 2007年 5月16日掲載  2014年 1月10日再掲


 食品のトレーサビリティーや、産地の表示、GM(Genetically modified、遺伝子組換え)食品などの表示が求められている。しかしながら、この表示義務に従わないケースも多見されるため、「純粋はちみつ」と表示されたはちみつについて、その真偽を調査しようとのニュースである。

 偽装はちみつは、はちみつをコーンシロップで薄めて作られる。はちみつや果実はC3植物由来であり、コーンシロップはC4植物であるトウモロコシ由来である(下記参照)。C3植物とC4植物で含まれる炭素同位体12Cと13Cの比率が異なるため、はちみつへのコーンシロップの混入がわかる。2002年7月に改正された「食品表示に関わるJAS法」では、表示義務に違反した場合の罰則は、個人が100万円以下の罰則または1年以下の懲役、法人が1億円以下の罰金となっている。

 下に示した「食の信頼と制度」には「食品の確かさを知る技術」として、次の内容が記されている。
(1)無機元素分析 土壌中の無機元素成分は地域によってその特徴が異なるため、野菜中のむき元素を分析すればその産地が特定できる。
(2)DNA解析 新潟米コシヒカリを特定するために利用された。
(3)安定同位体比測定 上述のはちみつの例など
(4)GM食品の判別 PCR法(遺伝子増幅法)により判定



農林水産省、はちみつの表示に関する重点調査を実施
http://www.maff.go.jp/   2007年05月15日
全文引用
 農林水産省は、はちみつに異性化液糖などを混合した製品に「純粋はちみつ」と
不正に表示して販売するなどの疑いが生じていることから、同省ではちみつの表示
に関する重点調査を実施することを発表した。
 調査実施機関は、農林水産消費安全技術センター(以下、センター)および地方
農政局等となる。センターによる重点調査では、店頭で販売されているはちみつ商
品を購入し、炭素安定同位体比等による分析を実施するという。地方農政局等によ
る疑義業者に対する調査では、分析の結果、不適正表示の疑いがある業者に対して
、確認のための調査を実施するとのこと。調査の結果、JAS法違反が確認された場
合は、当該業者に対し指示・公表等の措置を行うという。
 調査の結果については、公正取引委員会および都道府県に情報を提供するなど連
携を図っていく考え。5月16日から調査を開始する。


食の信頼の制度と技術 犯罪を科学する  中嶋康博著
http://www.h4.dion.ne.jp/~jssf/text/doukousp/pdf/200510/0510_3236.pdf
(※再掲載時点でリンク切れ)


C4型光合成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
C4型光合成(シーよんがたこうごうせい)とは、光合成の過程で一般のCO2還元回路であるカルビン - ベンソン回路の他にCO2濃縮のためのC4経路を持つ光合成の一形態である。C4経路の名はCO2固定において、初期産物であるオキサロ酢酸がC4化合物であることに由来する(当初は炭素数4のリンゴ酸が初期産物だと思われていたが、後に誤りであることがわかった)。C4経路は、詳細を解明した人物の名前を取ってハッチ‐スラック回路と呼ばれることもある。C4型光合成を行なう植物をC4植物と言い、維管束鞘細胞にも発達した葉緑体が存在するのが特徴である。これに対してカルビン - ベンソン回路しか持たない植物をC3植物という。




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