9. 今更ながら、日本で米作が成り立たない理由   耕作面積が狭すぎる?

 2007年 4月21日掲載  2014年 1月10日再掲


 戦前は大地主が所有する田を小作する形で稲作がなされたが、戦後はその多くが耕作農家の所有となった。農家が取得できた田の面積は、農地解放時点でその農家が耕作していた田の広さであるので、機械化が進んでいなかった当時としては農家1軒あたりの面積は狭いものに限られていた。今日でも多くの(兼業)農家は、3〜5反(たん)程度の田で米作を行っている。1反とは300坪のことで、約1000m2(10アール:10aと表記する)の広さである。日本で米作農家として生計を立てるためには、2〜3町(ちょう)程度の広さは必要と言われている。1町=10反である。

 耕作条件により単位面積当たりの米の収穫量は変化するが、1反あたり500kgの米が採れるとする。スーパーなどでは5kg袋を約2000円の価格で売っているから、500kgでは売価20万円となる。仮に耕作面積が5反であれば、売上はしめて100万円ということになる。この売上から、種もみ代、肥料代や農薬代、機械の償却費等を支払って行くわけであるから、全くペイしないことになる。したがって、米以外の作物を組み合わせての農業が必要となる。

 日本の食糧事情は、エネルギー需給率では40%である。しかし、主要穀物の需給率では28%と低い値となる。この理由としては、米などの主要穀物を作るよりも、近郊農業で野菜などを作ったほうが収入になるからであると考えられる。

 農業は機械に頼っている。その源はエネルギー(ほとんど石油)である。原油の生産量がピークオイルを打ったのではないかと心配される昨今、原油生産量の低下につれて世界の農業生産も大きく影響を受ける可能性がある。そのとき、日本の農業はどのようになるか? 少なくとも、農産物の価格は大きく上昇する可能性がある。当然、工業製品の価格も上昇していると考えられるが。

 少し古いデータではあるが、2002年の三大穀物と大豆に関する表を添付する。日本の米価がかねてから言われているように、いかに割高であるかがわかる。

   http://www.panrolling.com/books/sd/23grain.pdf

表 三大穀物と大豆(参考)の各比較
              小麦 トウ

モロコシ
大豆
生産量米  (百万トン) 380 570 590 190
平均単収※1※2 (トン/ha) 4.0 2.5 8.0 1.4
栄養成分

(100g中)
熱量(kcal) 356 368 378 427
タンパク質(g) 11 33
糖質(g) 21
国際価格  (円/100g) 3.0 2.0 1.5 2.5
※1 2002/03生産量予想、※2 米はFAOSTATによる

出所:USDA 2002/03生産量予想等




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