説明資料 31
  
 スライド1には爆発性化合物の性質を示した。これらは混合物ではなく化合物である。爆速(爆轟速度)の推算方法は説明資料4で示した。落槌感度は、この数値が小さいほどショックに敏感であり、ニトログリセリンではちょっとした刺激でも爆発(爆轟)に至りやすいことを示している。硝酸アンモニウムは爆速が小さいこと、ショックには非常に鈍感であることが示されている。

 スライド2は爆発性化合物がどのように分解するかを化学式で示したものである。分解によって生じる生成物とその分解で発生する発熱量を記している。この中で黒色火薬だけは混合物(硝酸カリウム+硫黄+木炭)である。

 ニトログリセリンと硝酸アンモニウムはその分子中に十分な酸素原子を有し、爆発によっても酸素が余っている。これに対して、ピクリン酸やトリニトロトルエン(TNT)では反応生成物中に炭素(C)が存在し、分子内には十分には酸素がないことが分かる。

 スライド3は化合物の爆発危険性を推算する方法を示したものである。横軸は爆発物が分解したときに発する熱量(kcal/g)で、この軸の左に行くほどその発熱量が大きくなる。縦軸は、爆発物の分子内に酸素が十分にあるかを示す軸で、酸素が不足なく存在しているとその値は0(ゼロ)であり、酸素が不足していると大きな値となる。

 スライド2の反応式よりニトログリセリンと硝酸アンモニウムでは縦軸の値はゼロであるが、ピクリン酸では2.9Cを酸化して2.9CO2とするときに発する熱量をピクリン酸の分子量で割った値、トリニトロトルエンでは同じく4.3Cの酸化で生み出される熱量をトリニトロトルエンの分子量で割った値となる。図中には黒色火薬もプロットしているが、黒色火薬は混合物であるので、あくまでも参考として示している。

 スライド3からは、ニトログリセリンの爆発危険性がかなり高いことが分かる。

  
 
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