説明資料 17
  
 日本触媒でのアクリル酸タンクの爆発事故について解説する。

 この事故は説明資料16の事故と同様、タンクの下部にしか冷却管がないにもかかわらず、液循環を怠ったために、タンク上部においてゆっくりと異常反応が進み、やがてその反応速度が加速度的に速まり爆発に至ったものである。

 スライドには2つの反応式が示されているが、まず上の反応がゆっくりと進み小さいながらも反応熱を発して液温を上昇させ、次いで反応熱の大きな下の反応が急激に進んだものと推定される。

 この作業は、このアクリル酸タンクへのアクリル酸の一時貯留を目的に進められたものであり、非定常作業であった。

 なぜ、この爆発が起こったか。状況を知ってしまえばナゼと考え込んでしまう初歩的な誤りから生じた事故であるが、このいわゆるこの「当たり前」が見えないために起こるのが事故である。説明資料16とこの事故は、全く同じ原因で起こっている。

 この事故を防ぐには、一人の目で安全を確保しようとするのではなく、複数の目、分野の異なる複数の専門家の目をも交えて、多角的に安全を図っていくことが重要となる。その手法には説明資料23に示すようないろいろな手法があり、また、事故事例等を知るためには説明資料24に示されているサイトを覗いてみることが有用である。

  
 
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