令和2年度 技術士一次試験 基礎科目
ポイント解説
1群 設計・計画に関するもの
R02年 基礎科目問題(日本技術士会)
Ⅰ-1-1 ユニバーサルデザイン
解答:③
「基礎科目問題を極める」 pp29~30(H20-1-1-1、H24-1-1-4、H26-1-1-1)を参照のこと
頻出問題ですが、過去問をやっておくと得点源です。
Ⅰ-1-2 材料の強度と応力
解答:④
「基礎科目問題を極める」 pp74~75に関連問題(H29-1-1-6)があります。
また、関連情報がpp37~38にあります。
本出題では、これにさらにひねりを加え、より難問としています。
この問題を4分以内で解くポイントは、
「荷重SがN(μS,σS2)、強度RがN(μR,σR2)に従うとき、R-SはN(μR-μS,σR2+σS2)に従う」です。
μR-S=μR―μS、σR-S=√(σR2+σS2)です。
この統計上の関係を紙面に何回も書き、自分のものとしてください。
Ⅰ-1-3 応力による材料の変形
解答:③
「基礎科目問題を極める」 pp68~69に座屈に関する問題(H28-1-1-3およびR01-1-1-4)があります。
基礎的な知識を問う問題です。
令和3年度問題ではこの座屈問題がもう一段、高度なものとなっています。
座屈にはどのような要件(パラメータ)が関係しているかを聞いています。
過去問で「座屈」を確認するときに、もう少し範囲を広げて勉強できれば良いのですが、時間との兼ね合いです。
Ⅰ-1-4 生産量の最適化
解答:⑤
「基礎科目問題を極める」 pp49~50(H28-1-1-5)が本問題を解く参考となります。
生産計画の基礎の基礎を問う問題です。
実際に紙の上で自分で解いてみると、そんなに難しい問題ではないことがわかります。
Ⅰ-1-5 製図法におけるルール
解答:⑤
製図する際の基本的事項を問う問題ですが、知っていなければ正解しにくい問題でもあります。
「基礎科目問題を極める」 pp33~34(R01-1-1-3)が本問題を解く参考となります。
この製図問題は次年の令和3年度にも出題されました。
確実にマスターしておくべき項目です。
Ⅰ-1-6 システムの信頼度
解答:③
頻出問題です。理屈を理解していれば間違いなく得点源となる問題です。
「基礎科目問題を極める」 p7~9に多くの過去問が示されています。
出題頻度が高いことがわかります。
H16-1-1-3、H19-1-1-1、H24-1-1-1,H26-1-1-4、
H27-1-1-1、H28-1-1-1、H30-1-1-1
2群 情報・論理に関するもの
R02年 基礎科目問題(日本技術士会)
Ⅰ-2-1 情報の圧縮方法
解答:④
新傾向の問題で、過去に同じ問題が出題されたことはありません。
しかし、経験と常識をもって考えていけば、解答に至ることができるのではと感じました。
この問題に出てくる専門用語はJPEGとMPEGのみです。
普段よりなじみのある用語ですが、これが何かと聞かれたら??・・・
Ⅰ-2-2 真理値表に基づく論理計算
解答:③
基本を問う問題です。理詰めの世界です。
「基礎科目問題を極める」 pp115~118(H23-1-2-3、H25-1-2-3、H28-1-2-2、
H30-1-2-4)が参考となります。
Ⅰ-2-3 標的型攻撃への有効な対策
解答:①
電子的通信の安全性に関する問題は多く出されています。
「基礎科目問題を極める」 pp105~111(インターネット)が参考となります。
ただし、ずばり同じという問題はなく、少しずつ内容が変化しています。
何度か問題と解答を読み込めば、おおよその検討が付きます。
H16-1-2-2、H17-1-2-6、H20-1-2-5、H21-1-2-2、
H22-1-2-5、H23-1-2-5、H27-1-2-5、H29-1-2-1、
H30-1-2-1、R01再-1-2-1
本問では、②~⑤の内容はしごくまっとうですので、消去法によっても①が不適切であるとの結論に至るでしょう。
Ⅰ-2-4 2進数の補数表現
解答:②
「基礎問題を極める」 pp83~84(H30-1-2-3)に解法があります。
補数とは普段は聞きなれない言葉ですが、その意味はぼんやりとは想像できます。
持っているお金にあと何円かたせばちょうど1万円になる、そんな感じでしょうか。
Ⅰ-2-5 2進を10進に変換するアルゴリズム
解答:⑤
アルゴリズムは頻出問題です。
ずばり同じ問題が出題されることはありませんが、アルゴリズムの読み方に慣れていれば、得点源となります。
すこし訓練すればアルゴリズムが読めるようになります。
やはり何回か、自分で神の上に書いてみて、その動きを確認することが大切です。
「基礎科目問題を極める」 pp136~146が参考となります。
H16-1-2-5、H24-1-2-5、H26-1-2-2、H28-1-2-3、
H29-1-2-3、H30-1-3-4、R01再-1-2-2
Ⅰ-2-6 メモリ検索にかかる時間
解答:⑤
「基礎科目問題を極める」 p94~95(H23-1-2-4、H28-1-2-4)と同じ問題です。
過去問に一度目を通しておけば楽勝でしょう。
3群 解析に関するもの
R02年 基礎科目問題(日本技術士会)
Ⅰ-3-1 ベクトルの発散値を求める
解答:②
「基礎問題を極める」 p198~201に同じです。
H20-1-3-5、H21-1-3-4、H22-1-3-2、H23-1-3-5、
H25-1-3-6、H26-1-3-1、H27-1-3-2、H30-1-3-2、
R01-1-3-1
得点源となる簡単な問題です。しかも出題される確率が高い問題です。
偏微分などと恐れる必要は全くありません。
この問題が出れば超ラッキー。間違いなく得点源です。
Ⅰ-3-2 関数のある点での傾きを求める
解答:④
これも解き方は前問と同様ですね。
新傾向の問題ですが、解き方は前問Ⅰ-3-1とほぼ同様です。
‖grad f‖の意味が分かるかどうかが勝敗の分かれ目となります。高校数学で出てくるようです。
昔、中学か高校で、地学で土地の傾斜が一番急な方向とその角度を求めたことを思い出します。
Ⅰ-3-3 数値解析の誤差
解答:③
「基礎科目問題を極める」 pp98~99(H19-1-2-4)およびpp174~175(H27-1-3-4)に同じです。
いろいろな誤差が存在しますので、どのような誤差があるかを一度確認しておいては?
Ⅰ-3-4 有限要素法の面積座標
解答:④
「基礎科目問題を極める」 p179~180 面積座標に関する問題は過去にも2回出題されました。
H16-1-3-5、H25-1-3-3
ただし、今回の問題は三角形に関する数学的知識を必要とします。
毎年、有限要素法に絡む問題が出題されます。工学にとって非常に重要な分野であるということです。
過去問にあたり、どの問題が有限要素法に関係しているかを見てみると、実に多くがこの分野から出題されているかがわかります。
Ⅰ-3-5 ばねの固有振動数
解答:①
「基礎問題を極める」 pp173~174(H26-1-3-5)に類似です。
高校物理の世界です。バネの振動の公式です。
Ⅰ-3-6 配管中の水の流速計算
解答:⑤
ベルヌーイの定理は初めて出てきました。
ベルヌーイの定理(数式)を知っていれば、そんなに難しい問題ではないのですが・・・・。
重要な定理ではあるのですが、その数式を覚えている人は少なかったかもしれません。
4群 材料・化学・バイオに関するもの
R02年 基礎科目問題(日本技術士会)
Ⅰ-4-1 有機化合物燃焼時のCO2発生量
解答:②
「基礎科目問題を極める」 pp237~238(H27-1-4-1)に同じ。
自分で化学式を紙の上に書いてみれば、理屈は簡単に理解できます。
Ⅰ-4-2 有機化学反応の種類
正解:③
新規問題です。
付加反応と脱離反応がどのような反応であるかがわかれば答に至ります。
高校の化学で学習する範囲です。
問題を見たとたんにアレルギー反応を示す人がいるかもしれませんね。
Ⅰ-4-3 金属の性質比較
正解:④
「基礎科目問題を極める」 pp259~260(H28-1-4-3)と同じ問題です。
金属の持つ基本的性質を問う問題です。
銅と鉄の融点は、どちらが高いか? 古代歴史の勉強のようです。
Ⅰ-4-4 アルミニウムの結晶構造
解答:⑤
「基礎科目問題を極める」 p254に関連問題(H29-1-4-3)があります。
本問題はこの問題を一歩前進させたものですが、高等学校の化学で学習する範囲です。
高校の範囲とはいいながらも、一度自分で解いておかないと、試験会場では手が出せないかもしれません。
Ⅰ-4-5 酵母菌によるグルコース発酵
解答:③
「基礎科目問題を極める」 pp291~292(H25-1-4-6)が理解できていれば容易に解ける問題です。
化学式と思わずに、数学の一次式(y=ax+b)が2つあり、それを足し合わせるのだと割り切ることです。
Ⅰ-4-6 PCR技術の特徴とその手順
解答:④
「基礎科目問題を極める」 p280(H29-1-4-6) にPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)に関連する設問があります。
コロナウイルスの感染拡大と共に一般大衆にも市民権を得たPCR検査です。
この検査がどのようなものであるかを一度理解してしまえば、この問題はそんなに難しくはないのですが・・・・。
5群 環境・エネルギー・技術に関するもの
R02年 基礎科目問題(日本技術士会)
Ⅰ-5-1 プラスチックごみ問題
解答:②
今日的課題への理解の深さを問う問題です。
(イ)は誤り、(オ)は正しいとわかる。これで答は②か④に絞られる。
(ア)のマイクロプラスチックの定義を知ってさえいれば解答に行き着くのだが・・・・・。
マイクロとは micro で、10のマイナス6乗を意味しますから、微粉末状のプラスチックであると思ってしまうのですが、案外と大きなプラスチック片です。
Ⅰ-5-2 生物多様性の保全
解答:③
③誤り
「基礎科目問題を極める」 pp348~349(H28-1-5-2)に同じ
Ⅰ-5-3 日本のエネルギー消費
解答:④
「基礎科目問題を極める」 pp316~317(H29-1-5-4)にも類似の問題が出題されました。
近年、二酸化炭素の排出削減と歩調を合わせ、エネルギー問題にも大きな関心が向けられています。
エネルギー白書に目を通しておく必要があります。
「基礎科目問題を極める(2022年増補版)」ではエネルギー白書と環境白書より、重要と思われる図表を抜粋して掲載しています。
2030年、2050年の節目の年に向けて、日本政府は世界に向けた脱炭素目標の約束達成にまい進しなければなりませんので、この関係の問題は試験のためにも重要となります。
Ⅰ-5-4 日本のエネルギー情勢
解答:①
「基礎科目問題を極める」 pp311~312(H24-1-5-3)に同じ
Ⅰ-5-5 日本の産業技術発展の歴史
解答:④
新規問題
統計的品質管理法が我が国に取り入れられたのは第二次世界大戦後です。
生産管理を勉強すると必ず出てくる話です。
Ⅰ-5-6 科学技術史
解答:①
「基礎科目問題を極める」 p367(H28-1-5-6)にほぼ同じ問題。
多くの人、時代、業績が出てきますので、繰り返し学習が必要となります。
以上、令和2年度の「基礎科目」について、超駆け足で要点のみを述べてきました。
詳しくは拙書「技術士一次試験 基礎科目を極める(2022年版)」
(増補版、2021年12月9日発行)
に詳しく記しています。
この増補版のサンプルをホームページ上に掲載しています。
ご興味がありましたらぜひとも立ち寄ってください。
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