有限要素法とは何者かを理解する


技術士一次試験・基礎科目においては、有限要素法に関する問題が多く出題されています。私がまとめた過去13年間の出題表をみると、カテゴリーC(解析)中のC06、C07、C08、C09、C10、C11,C17が有限要素法に関する出題です。平成16年度〜平成28年度の13年間で、このカテゴリーCに属する出題は71問で、その内14問が有限要素法に関するものです。最近の5年間を見ても、出題29問中の7問が有限要素法に関するもので、高い出題頻度となっています。

有限要素法になじみのある機械部門や建設部門の方などにとっては簡単な問題が出題されているということになるでしょうが、それ以外の分野の方にとっては有限要素法に触れる機会は少なかったものと思います。化学部門の技術士である私も、この分野については素人です。

知らないから最初からあきらめるのか? 知る努力をするのか? 受験という時間との戦いの中で、この判断には微妙なものがあります。しかしながら、有限要素法の考え方は工学を操るものとしては知っておくべき分野であると考えます。

そこで、このサイトでは、有限要素法についての私のにわか勉強の成果を、流れを作りながら記していきます。知らないことを知ろうと努力した結果ですので、論理のながれは出来ているものと思っています。



参考にしたWebなど

(1)MONO 有限要素法(機械設計エンジニアの基礎知識)(MONO)
(2)IST    有限要素法(設計者CAEを始める前にシッカリ学ぶ有限要素法)(MONOist)
(3)基本   基本からわかる有限要素法(邵長城著、2008年、森北出版)

(3)は「基礎からわかる」と書いてありますが、決して「簡単」とは書いてはありません。しかしながら、本書を読むと、有限要素法がどのようなものであるかを実感として理解することができました。斜めに目を通すだけでも、得るところは大きいでしょう。定価は3400円+税、Amazonでの古本価格は現在(2016年12月18日)、1000円+送料、となっています。


有限要素法は解析したいものをメッシュに分割する(MONO)

分割の仕方には、一次元はビーム(直線)、二次元はシェル(三角形、四角形)、三次元はソリッド(四面体、六面体など)がある。三角形と四角形では四角形の方が計算精度が高い。

分割した形状の頂点を節、節に囲まれる部分をシェルという。

節と節の間にさらに節点を設ける場合があり、この設けた節点のことを中間節点という。
中間節を設けないものを1次要素、1個の節点を設けるものを2次要素、そして2個の節点を設けるものを3次要素という。

中間点を設けると計算精度が向上する。1次要素はシェル内を一次式で、2次要素はシェル内を2次式で、3次要素はシェル内を3次式で表現する。次数が高いほど実際の数値との近似が高まり、計算精度が向上する。(誤差の項目で記す)
メッシュを細かくするほど(細かく分割するほど)計算精度は上がる。メッシュ分割が粗いと計算結果は不安全側(応力が小さく評価される側)の結果を与える。


4面体要素(立体、3次元)は2次要素を使う(IST)

プログラムが自動的にメッシュ切(要素分割)をしてくれる。
2次要素で得られる結果は正確性が高く安全サイド。


メッシュ分割(MONO)

細かく分割すると計算結果は理論値に近づくが、計算時間が長くかかる。

応力が集中する部分は細かく分割する。


計算精度(IST)

有限要素にも良し悪しがあります。その要因はズバリ、要素の精度です。

ソリッド要素について見ていきましょう。伝統的に好まれるのが6面体要素です。6面体要素はほかの要素と比べて相対的に精度が高い要素といわれています。一方で、4面体要素は相対的に精度があまり良くないといわれています。

※ 平面でも精度は□>△、中間節点を設けると精度がよくなる。



節点は自由度を持っている(IST)

並進が2成分、回転が3成分、合わせて6成分。これをの自由度という。


要素内の値(基本)

1次要素ではシェル内の値は、2つの節点の値を与える1次式(u=ax+b)により求められる(基本p61)
2次要素ではシェル内の値は、2つの節点と中間節点の値を与える2次式(u=ax2+bx+c)により求められる(基本p64)

双1次四辺形要素(基本p81)

右の図に示すように、節点1〜4を持つ四辺形で、中間節点がないことから、シェル内の値は節点1〜4の値に基づいた1次式で与えられる。

  N=1/4×(1−ξ)(1−η)    N=1/4×(1+ξ)(1−η)
  N=1/4×(1−ξ)(1−η)    N=1/4×(1−ξ)(1+η)

@ N〜Nはξ、またはηの1次多項式である。
A N(ξ、η)(i=1,2,3,4、j=1,2,3,4)は i≠jのとき 0、 i=jのとき 1
B N+N+N+N=1

右図中の任意の座標x、座標yでの値は

 x=N+N+N+N
 y=N+N+N+N

となる。
 

(参考)2次四辺形要素(基本p91)

上図の節点1〜4のちょうど中間節点、すなわち四辺形の辺の上に中間節点を持つ2次四辺形要素については、シェル内の値は次式で与えられると記されている。

 N=(−(1−ξ)(1−η)(1+ξ+η))/4    N=(1−ξ)(1−η)/2
 N=(−(1+ξ)(1−η)(1−ξ+η))/4   N=(1+ξ)(1−η)/2
 N=(−(1+ξ)(1+η)(1−ξ−η))/4   N=(1−ξ)(1+η)/2
 N=(−(1−ξ)(1+η)(1+ξ−η))/4   N=(1−ξ)(1−η)/2

@ 2次多項式である。
A N(ξ、η)(i=1,2,3,4、j=1,2,3,4)は i≠jのとき 0、 i=jのとき 1
B N+N+N+N+N+N+N+N=1

 x=N+N+N+N+N+N+N+N
 y=N+N+N+N+N+N+N+N

である。
 




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