E18  科学技術コミュニケーション



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技術士試験の問題からは必要最小限の引用にとどめる。(問題)が記されている部分はその引用である。

問題および解答は日本技術士会のホームページより必要に応じて入手してください。

  技術士第一次試験の問題     



問題番号が赤字のものは、ボーナス問題

H28年 Ⅰ-5-5   H25年 Ⅰ-5-5
   H17年 Ⅰ-5-6

同じ問題

H28年 Ⅰ-5-5   H25年 Ⅰ-5-5




H28年 Ⅰ-5-5 科学技術コミュニケーション

正答: ⑤

(解答)

(ア)「真理探究型の科学と応用的な技術領域とが、頻繁かつ実質的に情報を共有してイノベーションを生み出すことを科学技術コミュニケーションと呼ぶ。このような用語こそなかったものの、同様の活動は古代ギリシャ時代から盛んに行われていた。」は誤り。
一部の知識人の間で科学技術の思想が占有されていた。

(イ)「マスメディアには、しばしば科学や技術に対する理解が不十分な記述が散見される。このような記述をなくすために、コンテンツの制作は科学技術者に任せるべきである。科学技術によるメディア・コミュニケーションが必要である。」は誤り。
コンテンツの制作を科学技術者に任せきりにすると、科学技術者と社会の間の科学理解にかい離が生じ、社会にとって有意義な技術開発が進まなくなる可能性がある。「科学技術によるメディア・コミュニケーション」は意味不明である。

(ウ)科学者や技術者たちが、科学技術コミュニケーション活動に携わることは、自らの活動に対して社会・国民が抱く様々な考え方を知り、研究者・技術者自身の社会への理解を深めるといいう意味でもきわめて有意義である。

(エ)科学者や技術者たちが専門的な情報を発信するだけでは、社会にはなかなか受け入れられない。社会的ニーズや非専門家にとっての有効性などを理解し、科学技術と社会との双方向コミュニケーションを促進することが必要である。

なお、(イ)と(エ)の内容は相反している。


(参考)

科学コミュニケーションとは

このウェブサイトでは、「科学コミュニケーションとは、科学にかかわる情報を、科学者と科学者でない人たち(ここでは市民と呼びます)とがやりとりすること」としています。

1 科学コミュニケーションの3つの側面

「科学コミュニケーション」とは、科学技術にたいする理解増進にとどまらず、より幅広いコミュニケーション活動を視野に入れたものです。

科学コミュニケーションの機能
  • 科学を市民に伝え、市民の科学リテラシーを高める手助けをすること
  • 科学について市民がもつさまざまな思いを知り、科学者自身が社会リテラシーを高めること
  • 科学と社会の望ましい関係について、市民と科学者がともに考えていくこと
【コラム】
発信から対話へ:移りゆく科学コミュニケーション(日本編)

2 科学コミュニケーションにおける基本方針

科学コミュニケーションの3つの方針
  1. 科学の本質的おもしろさを利用して、市民を科学の世界に巻き込む
  2. 市民の多様性を尊重する
  3. 市民と語り合う場を大切にする


H17年 Ⅰ-5-6

正答: ④ 

(解答)

「基礎的な科学と応用的な技術領域とが、より頻繁かつ実質的に情報を共有することを科学技術コミュニケーションと称し、このような用語こそなかったものの、古代ギリシア時代から盛んに行われていたことである。」は誤り。
上の問題に同じ。一部の知識人の間で科学技術の思想が占有されていた。

「マスメディアには、しばしば科学や技術に対する理解不十分な記述が散見される。このような記述をなくすために、マスメディアの製作にもっと科学技術を駆使するべきである。科学技術によるメディア・コミュニケーションが必要である。」は誤り。
上の問題に同じ。コンテンツの制作を科学技術者に任せきりにすると、科学技術者と社会の間の科学理解にかい離が生じ、社会にとって有意義な技術開発が進まなくなる可能性がある。「科学技術によるメディア・コミュニケーション」は意味不明である。

「科学者や技術者たちは、学会発表や専門論文の執筆を通して、同じ領域の専門家に情報を伝達するが、そのような専門的なコミュニケーションの方法は一般社会とのコミュニケーションにそのまま使えるものである。」は誤り。
一般の人向けに噛み砕いた表現が必要になる。

科学者や技術着たちが専門的な情報を発信するだけでは、社会にはなかなか受け人れられない。社会的ニーズや非専門家にとっての有効性などを理解し、科学技術と社会との双方向コミュニケーションを促進することが必要である。

「人間のコミュニケーションは言語によるものだけではない。非言語コミュニケーションも含め、人間のコミュニケーションを円滑に促進するための科学技術を開発する領域が、科学技術コミュニケーションと呼ばれるものである。」は誤り。

科学技術コミュニケーションの定義から外れている。上の参考に「科学コミュニケーションの機能」が記されている。







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