341. 「はやぶさ」の成功は日本の基礎科学を救うか? そして、結果として多くのオーバードクターを救うか?

 2010年 6月16日掲載  2014年 5月 5日再掲


基礎科学の研究には長い年月と大きなお金が必要となります。もちろん、この中には人材の教育費用も含まれています。

政策がころころ変わるようでは、ヒト、モノ、カネのヒト、すなわちこの3者の中で最も大切な人材の育成が立ち行かなくなります。

米国が力を持っていたころには、宇宙開発で得られた基礎技術の波及効果により、産業が発展した経緯もあります。日本の民主党政権の仕分けにおいては、この波及効果を無視した独断が横行しているといわれても仕方ないでしょう。

日本の国力を向上させるものは何か? 資源が少なく人口が減少することが確実な日本を、世界で一流の国として保つためには、その資源となり得るのはヒトの頭脳しかありません。

オーバードクターが溢れ返るような国にいったい誰がしたのでしょう。そして、どうしてこのような事が、政府の中で問題視されないのでしょう。高い費用と時間をかけて人材を育成したが、その人材は要らないとは、まるで仕分け作業における切り捨てを見ているようです。




読売新聞 6月16日

「はやぶさ2」予算、首相ら前向き…仕分けと逆  菅新政権

 宇宙航空研究開発機構の小惑星探査機「はやぶさ」が7年ぶりに地球に帰還したことを受け、菅首相や閣僚から15日、民主党政権が事業仕分けなどで大幅削減した後継機「はやぶさ2」の開発予算拡充に前向きな発言が相次いだ。

 後継機の予算は、自民党政権当時の2010年度予算案概算要求額が17億円だったが、鳩山政権発足後の見直しで5000万円となった。事業仕分けでは「コスト削減の努力をすべき」などと判定された結果、3000万円にまで削り込まれた

 しかし、菅首相は15日の参院代表質問で「今回の実績をふまえ、開発経費について必要な手当てをできるように配慮をしたい」と表明。同機構を所管する川端文部科学相も閣議後の記者会見で、「(予算削減は)『はやぶさ』の結果を見ながら考えようということだった」と釈明したうえで、「非常に大きな成果を上げたので、それを踏まえて考えたい」と述べた。事業仕分けで「仕分け人」を務めた蓮舫行政刷新相は「私は宇宙関連に関して直接担当していたわけではない。仕分け結果を何が何でも守るというべきものではない」と語った。

 ただ、こうした対応は野党側の批判を招いている。

 15日の参院代表質問で自民党の西田昌司氏は、蓮舫氏が事業仕分けの際に次世代スーパーコンピューター開発について、「(世界)2位じゃだめなんですか」と発言したことを念頭に、「技術力の開発を『なぜ2番ではいけないのか』と切り捨てたのが民主党政権だ」と指摘した。

 蓮舫氏は「発言の一部、一言だけを切り取って仕分けを語られている」と反論したが、後継機の予算削減には直接触れず、西田氏は再質問で「答弁になっていない」と厳しく批判した。




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