253. 曹操の墓といわれる陵墓の主が、現在の曹さんのDNAを調べることにより特定できると思いますか?

 2010年 1月28日掲載  2014年 4月19日再掲


曹操は約1800年前の人である。卑弥呼と同じ時代に生きた。人の一世代は約30年であるが、1800年前となると実に60代前のご先祖ということになる。

父と母、2人の親から子供が生まれるわけであるが、10代さかのぼると2の10乗、10代前には実に1024人のご先祖様がいることになる。そして20代前には1024×1024で約100万人のご先祖様が、さらに60代前には約100万×約100万×約100万人と天文学的な数のご先祖様となってしまう。ただし、これだけ多くのご先祖様ともなると、その重なりも多く、このご先祖様とこのご先祖様は同一人物である、ということも頻繁に起こる。

人の移動が少なく、その地方の中で婚姻を繰り返している場合には、1700年を経ても、今回ニュースにあるような、地域によって遺伝子に特徴が現れて、遺伝的に今回発見された墓が曹操の墓であることの確率が高くなる可能性もある。

ただ、ニュースに伝えられているように、現在の曹という名字の人のDNAを調べてみても、曹の名字を持ったご先祖は、無限に近いご先祖様のごくごく一部であったであろうから、この試みはきっと徒労に終わることであろう。

ひとまず、今回の統計学的な答えがどのように出るかが楽しみである。1800年の時を超えて遺伝学的な推定ができるかが一つ(これには私は懐疑的)。この遺伝学的な推定により、中国の民族移動がそんなに大きくはなかったことの証明となる可能性があるわけで、その時に、現在、中国の人口の93%を占めるといわれる漢民族が何者であるのかをどのように説明するのか、私にはこちらの方が楽しみである。



【1月28日 AFP】中国・河南(Henan)省で先ごろ発見された、「三国志」の英雄、魏(Wei)の曹操(Cao Cao、155〜220年)のものとされる陵墓について、上海(Shanghai)の復旦大……
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