198. 世界のトップを疾走するJパワー(電源開発)の石炭発電 日本のCO2削減に一役買うか

 2009年12月27日掲載  2014年 3月 7日再掲


鳩山首相が、2020年までに1990年と比較してCO2を25%減らすと世界に向けてぶち上げた。通常の方法で削減量を積み上げているだけではとても飛び越えることはできない高い高いハードルである。

一方で、世界の自動車開発は、ハイブリッド車を飛び越して、電気自動車に焦点が当たっている。クリーンな使い勝手の良いエネルギーとして電気に注目が集まっているわけだ。

最近は風力発電や太陽光発電など、自然から得られる再生可能なエネルギーに目が向けられているが、エネルギーが電気の形で得られることになるので、地球にやさしい再生可能なエネルギーの面からも、電気は今後おおいに期待がもてるというわけだ。

さて、Jパワー(電源開発)は日本国内に7つの石炭発電所を有している。この発電効率は、超臨界発電、超超臨界発電と進むに従って向上してきている。臨界とは、通常は水は液体の水、あるいはガス状の水(水蒸気)で存在するわけであるが、そのどちらともつかない状態となっていることをいう。この状態には水を高温、高圧にすることにより到達することができる。

超超臨界発電により発電効率を高め、発電機からの廃圧力や廃熱をさらに利用することにより、エネルギーの総合利用効率を向上させる。高温での排気ガス中にはCOが多く含まれるが、このCOは水蒸気改質をほどこしてCO2とH2とし、CO2は分離して地中貯蔵すれば、H2は純粋にエネルギーとして利用でき、しかもCO2を排出しないプロセスとなるわけである。

    水蒸気改質反応 230℃位で反応を進める
       CO + H2O → CO2 + H2    

           COは  一酸化炭素
           H2Oは 水
           CO2は 二酸化炭素 
           H2は  水素

    H2は燃料として利用
       H2 + 0.5O2 → H2O + 熱

    CO2は分離後に貯留

公害対策も万全である。活性炭にSO2を吸着させ、それを(おそらく吸着と同時に)活性炭上で酸化して、その後水洗いすれば硫酸とする。※中国向けには良い技術となるのでは。日本にも亜硫酸ガス(SO2)の流れ込みが少なくなる。

    SO2 + 0.5O2 → SO3
    SO3 + H2O  → H2SO4

日本国内の旧式の火力発電所をこの超超臨界発電に変えていくだけでもCO2削減の効果があるが、このプラントを中国やインドへと輸出することにより、その国で削減されたCO2量を日本のCO2削減量としてカウントすることにより、短期的ではあるかもしれないが、日本の排出量を削減することができる。

先に示したように、発生するCO2を分離し、それを地中に埋める(あるいは深海に貯蔵する)ことができれば完璧であるが、現在CO2の分離技術および貯蔵技術の構築が精力的になされているところである。

資源が少なく、人口の減少が始まった日本が、国際的に尊敬されながら生き残っていくために、国家としての戦略を立て、その軸がぶれることなくその実現に向けてベクトルを合し、努力していくことが必要である。失業率が向上し、失業した人々がこのベクトルから外れているというのは、何とももったいない話である。







磯子火力発電所全景。煙突の高さは200mあり、排煙の拡散効果が高い。横浜市の景勝地である三渓園からの景観を損なわぬよう、煙突の位置をずらし、築山を設けるなどの配慮も行っている。






部分引用

火力発電技術は成熟期?
世界最高水準の向こうを狙う挑戦
2009年12月17日

http://premium.nikkeibp.co.jp/em/report/187/index.shtml

 今年7月、Jパワー(電源開発)の磯子火力発電所(横浜市磯子区)新2号機が営業運転を開始した。限られた敷地の中で従来機の2倍の容量、多くの「国内初」を含む最新鋭の設備を投入した、コンパクトながら高効率な石炭火力発電所だ。

 2002年4月から稼働している新1号機と合わせて出力120万kWとなるこの発電所は、横浜市の電力需用(242億6341万kWh:2007年)の約40%を担う。新1、2号機ともに、タービン内の水蒸気の温度と圧力を極限まで高める超々臨界圧発電(USC=Ultra Super Critical)方式を採用している。

蒸気の温度が高いほど膨張力、噴射力が大きくなるため、高温に耐えうるタービンの開発に各社がしのぎを削っている。

 磯子火力発電所では、主蒸気が600℃、再熱蒸気温度が新1号機で610℃、新2号機で620℃という高性能を誇る。
蒸気圧は従来機の16.6MPaから25MPaまで上昇させた。これによって発電効率は発電端(発電機自体の発電量、対する送電端とは発電所内の動力を差し引いた数値)で43%( HHV )と、石炭火力発電所としては世界最高水準の効率を実現した。

 石炭火力発電においても、現行の最高水準である発電効率42%(HHV)から、石炭をガス化した複合発電(コンバインドサイクル発電)を行うIGCCを組み合わせて57%まで向上させた場合、CO2排出量は約3割、IGCCと燃料電池発電を組み合わせたトリプルコンバインドサイクル発電(IGFC)で効率が65%まで上がれば約4割のCO2削減が可能となる。そしてCO2の地中貯蔵CCSを組み合わせれば、CO2の排出をほぼゼロにすることも期待できるという(「Cool Earth-エネルギー革新技術計画」、2008年)。

 現在、日本ではUSCをさらに発展させたA-USC(蒸気温度700℃級)の研究開発が進んでいる。新しい高温耐熱材料の開発や、耐熱鋼の革新的な溶接技術を実現し、2015年には700℃級で46%、2020年頃には48%の発電効率を目指している。

 また、環境対策も徹底している。石炭火力発電所の場合、硫黄酸化物(SOx)などによる環境汚染が問題になるが、新設備では国内初となる乾式排煙脱硫装置を採用し、環境負荷の低減を図った。これは、活性炭を充填(てん)した脱硫塔の中に排ガスを通すことで、活性炭がSOxを吸着して再生塔に送り脱硫、濃硫酸として回収する設備である。その結果、SOxの除去率は1号機で95%、2号機で97.8%と国内最高の水準となる。

 主要国の電源別発電電力量を見ると、発電電力量の41%が石炭、LNGが20%、水力が16%、原子力が15%、石油6%と、石炭が最も多くの割合を占めている(『エネルギー白書2009』)。そんな状況のなか、日本の石炭火力発電所の発電効率は平均で40%前後と世界最高水準を誇る。だが、石炭への依存度が高い中国(80%)やインド(68%)、米国(50%)では、発電効率は相対的に低い傾向にある(データは『IEA World Energy Outlook 2008』より)。「特に、中国とインドは日本に比べて発電効率が10%程度低い。発電電力量のCO2排出量で見ると20%くらいの差が出てくる」と、Jパワーの野口部長は分析する。
 
 石炭の可採埋蔵量は133年となっており、原油の41.6年や天然ガスの62年と比較しても長い(『エネルギー白書2009』)。しかも石炭は、米国や中国、インド、オーストラリア、ロシア、その他の欧州と世界中に広く分布しており、ほかの化石燃料に比べて価格は安価で安定している。



(注)亜臨界圧(Sub-Critical、ボイラの型式がドラム式)……蒸気圧力が22.1MPa未満
超臨界圧(SC:Super Critical) ……蒸気圧力が22.1MPa以上かつ蒸気温度が566℃以下
超々臨界圧(USC:Ultra Super Critical)……超臨界圧(SC)のうち、蒸気温度が566℃を超えるものを特にUSCと呼ぶ。
なお、1MPaは1メガパスカルのことで、10気圧に等しい。

Jパワーでは石炭火力発電所でのCO2削減において、次のようなロードマップを描いている。

 「当面は、USCの導入促進やバイオマス系燃料と石炭との混合燃焼が中心となり、2020年以降にはIGCCやIGFC、A-USCといった高効率発電技術の導入、そして最終的には、CCSで80〜90%のCO2を削減してCO2排出ゼロに近付けていきたい。






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