189. 「天才の創りかた」と「バカの壁」 前頭葉は考える 人間が人間であること

 2009年12月22日掲載  2014年 3月 5日再掲


前頭葉の働きは人間を人間らしくならしめている。人のやる気や社会的適応力などその人にとってなくてはならない、人の人である本質ともいえる重要な部分をコントロールする司令塔である。ロボトミー手術によりこの部分が失われると感情や意志が失われることになる。(※原文は意思、しかしやる気という意味合いで意志とした)。



前頭葉(Wikipedia)から部分引用
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%89%8D%E9%A0%AD%E8%91%89

前頭葉の持つ実行機能と呼ばれる能力は、現在の行動によって生じる未来における結果の認知や、より良い行動の選択、許容され難い社会的応答の無効化と抑圧、物事の類似点や相違点の判断に関する能力と関係している。

前頭葉は、課題に基づかない長期記憶の保持における重要な役割も担っている。それらはしばしば大脳辺縁系からの入力に由来する情動と関連付けられた記憶である。前頭葉は社会的に好ましい規範に適合するようにこのような情動を調整する。

20世紀初頭に精神疾患の治療法として、前頭のロボトミー (前頭葉切截術とも) により、患者の苦悩を軽減することに成功したが、副作用として感情、意思、人格の鈍化が見られた。



素晴らしい脳は読み、書き、考えながら、自分自身で作り上げるもの。ただし、その過程で社会とにつながりは切っても切り離せないものとなる。脳の発達著しい幼少期にあっては、下に示した人間サル化計画に陥ることなく、子どもに接していくことが子どもの将来を多くき決める。

結局は人は考える社会的動物である。人は知恵を生み出しその知恵を強化する動物である。人は遊びを考え自らその遊びに熱中する動物である(ホモ・ルーデンス)。これらすべての活動には前頭葉が関係している。前頭葉を鍛えることは、より一層人間らしくなることである。素晴らしい人、EQの高い人。これが幸せと自分自身で感じられる人かもしれない。

天才はIQで測るか(一般的にはIQ140以上)? しかし、本当の天才はIQを超越したヒラメキをもつ。そのヒラメキ力はIQで測れるのか? 人の思考そのものをコントロールしているのは前頭部である。とすると、この前頭部に共存するEQとヒラメキ力になんらかの関係があるか。EQを鍛えることが天才への近道か。

過去における天才は多芸であった。多くのの学問に通じた。多くの学問に通じることによりヒラメキ力を獲得したのでは? 受験勉強だけしていたのでは天才になれない。 一つの専門分野に固執し、専門バカになってしまうと大きな仕事はできない。のでは?



掲題の2冊の本にも、この前頭葉の働きの重要性について多く触れられている。それらの部分を以下に引用させていただいた。(バ)としているのはバカの壁より、(天)としているのは天才の創り方より引用したものである。

(バp59)学生たちを教えているとしみじみ思うのが、彼らは勉強しないという以上に、勉強するという行為の意味をほとんど考えたことがないのではないか、ということです。


(バp96)仕事が専門化していくということは、入出力が限定化されていくということ。

(バp109)「自己実現」などといいますが、自分が何かを実現する場は外部にしか存在しない。より噛み砕いていえば、人生の意味は自分だけで完結するものではなく、常に周囲の人、社会との関係から生まれる。

(バp117)なぜ寝ている時間がないのか。寝ている暇をもったいないと思うのか。それは無意識を人生のなかから除外してしまっているからです。

(バp127)一番すぐれているのは、実は社会生活に適応できないようなタイプの人です。○○桁の数字をあっという間に全部暗記する、という能力を持つ人は現実に存在しましたが、この人は社会的不適応者でした。

(バp128)社会的に頭がいいというのは、多くの場合、結局、バランスが取れていて、社会的適応がいろいろな局面でできる、ということ。

(バp142)天才というのは平たく言えば、A→Dというプロセスを省略してしまったり、あるいは一部の能力に欠けている人だ、ということができます。

(バp146)キレる脳。結論からいえば、脳の前頭葉機能が低下していて、それによって行動の抑制が効かなくなっている、ということなのです。

(バp153)無気力な子供。実はこれも、キレる脳同様、前頭葉に問題があると考えられます。

(天p11)人間の前頭前野の能力は、知恵や知識の量に比例する。

(天p27)EQ−こころの知能指数。感情の抑制や表出、表現が上手くできる人はEQが高い。

(天p31)テレビとかビデオを見ることがじつは脳の発達を阻害しているのではないか。

(天p32)子育てにおいて重要なことは、結局、人というのは誰かとかかわり合いながら成長していくのだということです。

(天p141)人間サル化計画 ※この逆をやればよいと
勤勉力略奪サル化計画、思考力略奪サル化計画、メディア漬けサル化計画、コミュニケーション力略奪サル化計画、ぐうたらサル化計画、自己中サル化計画。

(天p182)ゲームは、癒し系である可能性が高いのです。ゲームの初心者が、失敗しながらゲームをしているときにも、前頭前野は左右とも活性化します。しかし、同じゲームでも、ゲームに慣れ親しんだ人が行うと、とたんに前頭前野の活動が下がってしまいます。(※単に考えなくてもよいいつもの作業になったということか)

(天p179)考えていることが脳を活性化する。




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