173. 「立ち上がれ中小零細企業 時代は俺たちのものだ」 人と経営に触れた良書である

 2009年12月13日掲載  2014年 3月 5日再掲


著者は従業員数が約30名の株式会社セルコの社長である。モーターなどに使われる電磁コイル巻きの会社である。オンリーワン技術を築き上げたことでその地位を確かなものとしている。

著書よりの引用

p186 日本のモノ造りと中国のモノ造りの違いは、なんといってもその文化の違いなのだ。われわれの業界では、部品の精度にそれが現れる。
 中国人は自分が習得した技術やノウハウを、部下はもちろん、誰にも教えようとしない。自分の得た知識や技能は、自分だけのものであり、人に教えたら「損」という考え方が当たり前である。
 逆に日本の場合には、早く自分のノウハウを部下に教えて、その部下が出世すると、自動的に自分もその上にいける、というようなまったく逆の考え方がある。

・・・ということは、最近少しに下火になってきましたが、アメリカ直輸入の実力主義は日本の企業文化には相いれないところがあるということですよね。実力主義では日本の企業文化である助け合いの部分が欠如する、あるいは他人を蹴落とさなければ出世できないシステムですから、井の中の蛙の競争となり、グローバルな視点は失われます。また、同じ会社のなかであっても、他の部門の情報は入ってきにくくなります。これえは発想の幅をも狭くすることになります。

p241 この底が知れない長いトンネルの後に来るのは、これまでのマネーゲームや架空経済、そして大量生産・大量消費の時代ではなく、必要なものを必要なだけ使い、環境にやさしいモノ、きちっとした製品、行き届いたサービス、安心・安全な食品等の本当のものを求める時代だ。本当によいものだけが評価される時代が必ず来る。

p246 すべてのポイントは従業員、社員の中にある。もうこれまでのように社長一人で考えるのはやめよう。そして、現状をはっきり、きっちりと従業員に伝え、この状態でどうしたらよいか一緒に考えよう。

・・・実力主義を取り入れた大企業が、人の心の動きを忘れさり、その結果組織の隅々まで神経がいきわたらない大企業病に陥っているのに対して、中小零細企業では気心の知れた社員が、社長の出した方向性のもと、一致団結して協力し合える。恐竜は気候変動(空気が読めずに)により滅び去ったが、ちっぽけな人類のご先祖は生き延び、発展し今日の文明を作り上げた。



セルコ(社長、著者)のホームページより引用
http://www.selco-coil.com/
この中の「会長の部屋」
http://selco-coil.com/modules/weblog/index.php?cat_id=6
会長日記
カテゴリ: 会長の部屋 :

09.11.2
私の本「立ち上がれ中小零細企業」を読んだ方々から、講演会の依頼(埼玉、東京、大阪、長野3件計6件)、会社訪問の依頼(2件)が相次いで来ており、また講演を聴いた方からの依頼もありそうで、私も会を重ねるごとに、講演のプロになりそう。

コンピュータのブログに私の本に対する評が結構載っており、一寸面白いものを抜粋してみよう。

有限会社ニテコ図研社長のブログ→泥臭い内容かと想像していたのですが、読み進めるうちに、経営コンサルタントが書かれた本を読んでいるかのような錯覚を覚えました。
とても、中小企業の社長が書かれたと思えないほどの文章力です。 (分かる人わかるんですねぇー!)
もちろん著者自身の体験から書かれた内容ですので、全てにおいて説得力があります。
製造業をはじめ、技術力で勝負している中小企業は多いと思いますが、技術力のみに頼る経営者も多いと思います。
著者の場合、営業・特許・コラボ・広告・宣伝・展示会・行政からの支援など、本業以外の方面でもあらゆる手を尽くしているところがすごいですね。
おわりに として、著者の考えが7ページに渡ってまとめられています。
プロフィール欄の座右の銘を、人徳経営 としている私にとっては、特にこの部分が共感できました。お勧めの一冊です。!
このコメントに対し、本を読んだ人の感想です。
松下幸之助本の中小企業版と言っても過言ではないと思います。(これは流石にオーバーですネー!)

良い本を紹介してくださり、ありがとうございました。




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