151. タケノコの原産地を同位体の存在比で確認できる技術 原産地偽装の防止に役立つ見込み

 2009年 5月28日掲載  2014年 3月 2日再掲


タケノコ中の元素の同位体比率を調べると、その原産地がわかるとの記事である。酸素、水素、炭素、窒素の同位体比率を確認して、その比率が産地ごとに異なることを利用して産地を特定する。

同位体とは、同じ原子でありながら、原子を構成する中性子の数だけが異なるものをいう。同じくWikipediaに同位体の一覧表が記されている。

安定同位体は酸素が3種類、水素が2種類、炭素が2種類、窒素が2種類ある。精度よくこの存在比が分析できるとすると、すこし強引な計算ではあるがその多い少ないで、3×2×2×2=24通り、さらにたとえば同位体の存在比は{ある」{なし」ではなく、連続して多いか少ないかといった数値であるので、さらにこれよりも多くの組み合わせが存在することになる。

業者が偶然にすべての値が近い中国の産地を見出した時(もしこのような可能性があるとしたら)、科学的に保証された産地偽装が完成することになるが、きっとこの様な確率はゼロに近いのだろう。

ただし、記事には、現在の実力は「9割以上の精度で判別可能」となっているので、たとえば国産の産地であれば、偽装できる余地は残されている可能性がある。

米の産地特定は、ホウ素(化学記号B)とストロンチウム(化学記号Sr)の同位体比率を確認することにより、すでに実用化されている。



47News 5月27日
タケノコ産地見破ります 含有元素質量で偽装判別
引用開始
 タケノコに含まれる酸素や水素など元素の重さから、中国か日本かなど産地を厳密に見分ける分析技術を、横浜市の民間会社「日本同位体分析研究所」が確立した。9割以上の精度で産地国は判別可能としており、農林水産省の検査機関は「国に同様の技術はない。精度が高く有効な方法」と評価。食品の産地偽装事件が相次ぐ中、うそを見破る強力な手段になりそうだ。
 研究所によると、産地によってタケノコに含まれる酸素や水素、炭素、窒素の質量が原子レベルで異なることに着目。中国のほか、日本では静岡、和歌山、京都、福岡、熊本などの産地からタケノコ約420本を集め、タケノコが生えていた場所からは土を採取。「同位体比分析」といわれる方法で、産地ごとの元素の質量を分析した。
 中国産か国産かは、これらの質量の違いで容易に判別できる。今後は国内の産地も見分けることができる方法の確立を目指す。
                                       引用終了




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