143. 音波で生物を追い払う クジラから人間まで

 2009年 5月14日掲載  2014年 3月 2日再掲


いま、和歌山県の内の浦湾に体長20mのマッコウクジラが迷い込み、それを追い出すのに知恵を絞っているところという。

自然保護やホエールウォッチング(whale watching)といいながら、あまり近寄られては困るわけである。クジラは高速船との衝突も報告されており、体が大きいだけに、事故が起こったときの被害は大きい。

鯨を追い払うのに低周波の利用が考えられている。

最近では、クマも人間社会の近くに出没し、時たま人を襲う。山に入る人はラジオなどを大きな音量でかけておき、人がいることをクマに認識させるのが良い方法と聞く。

最近では山野を追われた鳥も人間社会に入り込んでいるので、問題となることがある。昔見なかった鳥や、近づくと逃げていた鳥も、近距離で見られるようになった。最近アメリカでも発生したが、ジェットエンジンが鳥を吸い込むバードストラック(bird-struck)はどこの空港でも問題としている。

離陸に先立ち、空砲の音で追い払っているのが現状である。鳥は賢く学習能力があるので、すぐに慣れてしまう。むかし、山田のかかしがどのように効果があったのか?、疑問に思うところである。

30〜40年ほど前には、稲穂の実る秋ともなれば、田んぼで定期的に爆発音を発生させてスズメを追い払っていたが、最近ではそのような音はなくなった。スズメが他の野鳥にテリトリーを奪われたかどうかはわからないが、当時と比べ、スズメの数が半分から5分の1くらいまでに減少したといわれている。そういえば最近はスズメが集団で飛んでいる姿などは見なくなった。爆発音を発生させなくても、米の被害は非常に小さいとのことである。

最後は人間。年を取るに従い高音が聞こえにくくなることを利用して若者を追い払おうという優れた?アイデアである。あまり成功するとは思えないが、どうだろう。いよいよ本日からこの実験が開始される(下記記事参照のこと)。


YOMIURI ONLINE 5月14日
浅瀬にマッコウクジラ…和歌山・内之浦湾
引用開始


 和歌山県田辺市新庄町沖約100メートルの内之浦湾で、体長約20メートルのマッコウクジラが浅瀬で動けなくなっているのを、近くの住民が見つけた。背中の一部を海面から出し、時折、潮を吹き上げている。
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NIKKEI NET 4月30日
鯨と高速船の衝突防げ 嫌がる音出すスピーカー、11年度メド開発
引用開始
 高速船が鯨とぶつかる事故を防ぐため、国土交通省が鯨の嫌がる音を出すスピーカーの開発に乗り出している。騒音が比較的小さい高速船はしばしば鯨と衝突事故を起こしており、事業者が対策に苦慮している。同省は2011年度をメドに研究をまとめ、有効と確認できれば設置の義務付けも検討する。
 スピーカーを船の下部に取り付け、人には聞こえないが鯨が嫌うとされる低周波の音を出して、鯨を遠ざける仕組み。これまでも同様の機器の使用例はあるが、鯨の種類によって嫌いな周波数が違い、十分な効果を上げていなかった。
                                       引用終了

Searchina 5月5日
モスキート音〜超音波で若者撃退、自治体が採用
引用開始
 東京足立区で「モスキート音」を流して深夜の公園にたむろする若者を撃退しようという実験が今月より始まることが先日報じられた。
 「モスキート音」とは17kHz程度の高周波ブザー音のことで、10代の頃はよく聞こえるが、加齢とともに聞こえなくなるといわれている。
 足立区によれば、まず1ヶ所に設置してみて効果があるようであれば他の公園にも設置するとのこと。
                                         引用終了

亀有経済新聞 5月14日
足立区、公園にモスキート音発生装置−若者の器物破損防止目的で
 足立区は今月中旬から区内の公園で「モスキート音」と呼ばれる高周音波を発生する装置を設置し、深夜にうろつく若者を減少させる実験を行う。
 実験は区立北鹿浜公園(足立区鹿浜3)で行い、同公園に17キロヘルツの「モスキート音」を発生させる英国製の装置「モスキートMK4」を設置し、23時から翌5時まで装置を作動させる。




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