131. 日本人がイグノーベル賞を受賞 この賞は人間の生きる活力を表彰するもの 日本の将来は明るい

 2011年10月 2日掲載  2014年 1月22日再掲


明日からのスウェーデン・ノーベル賞の発表に先んじて、アメリカ・ハーバード大学よりイグノーベル賞の発表がなされた。これで日本人がこの賞を5年間連続して受賞したことになる。2002年以降は2006年を除いて連続受賞である。
※イグノーベル賞(Wikipedia)
 イグノーベル賞 (イグノーベルしょう、英: Ig Nobel Prize) とは、「人々を笑わせ、そして考えさせてくれる研究」に対して与えられる賞である。イグノーベル賞は1991年に創設された。イグノーベルの名は、「ノーベル賞」に反語的な意味合いの接頭辞を加えたもじりであると共に、「卑劣な、あさましい」を意味する " ignoble " と掛けている。


本物のノーベル賞ではないと侮ってはならない。イグノーベル賞の受賞要件は、ある程度の研究的要素と成果の上にユーモアも兼ね備えていることである。一番大切なことはやはり研究の目の付け所、頭の柔軟さである。ノーベル賞のように難しいことを一生懸命に追求して成果を出し、人類に貢献することも一つの道であるが、イグノーベル賞のように日常のちょっとしたことに疑問を感じ、その真理を追求したり改善していくことも人類の進歩にとって重要である。

パンセのなかでパスカルは「人間は考える葦である」と記したが、まさにこの葦としての人間を表彰するのがイグノーベル賞ではないかと思う。

今は地球規模で温暖化、原子力利用、人口爆発の一方での多くの貧困、世界経済の急激な低迷などが大きな問題となっているが、人が生きていくためには何が重要か? その前に、生きるとは物理的に生きることではなく、人間として充実して生きるためにはどのようにあるべきか? 今一歩、立ち止まって考えるときが来ているように思う。

生きるということは、ある程度の物質的な保証は必要であるが、それに加えて精神的な充実が必要となってくる。日本の社会は老齢化や核家族化、就職できない多くの若者の存在、高い自殺率など多くの問題を有しているが、人と人との関係を取り戻して豊かな人生が創造できる社会に復帰すべき時期がきているのではないか? 

考える葦である人間は、人間という言葉が示すとおり人の中にあっての人間である。多くの隣人に囲まれ、関係し関係されながら多くを考え、自らの存在感をそこに見出していく。そのような社会に復帰すべき時代が来ているように私には感じられる。

イグノーベル賞を5年連続して受賞できる日本人には、ユーモアを解し、人とのつながりを大切にする、そんな素地が間違いなくまだ残っている。モノづくり日本は勿論大切であるが、人間が人間らしく生きられる、生きたという実感が持てる、言葉を変えれば自己実現の可能性が大きく開かれる、そんな日本にどうすればなれるのか、このユーモアに富んだイグノーベル賞の受賞を機に考えてみても良いのではないだろうか。


関連ブログ
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asahi.com 9月30日

イグ・ノーベル賞に日本人 つ〜んとわさび火災報知器

 ユーモアある発明や研究に贈られる今年の「イグ・ノーベル賞」の授賞式が29日、米マサチューセッツ州のハーバード大で開かれた。わさびのにおいがする気体を噴射して、聴覚障害者に寝ているときでも火災を知らせてくれる装置の開発に携わった日本人7人が化学賞を受賞した。

 AFP通信によれば、受賞理由は「火災などの緊急時に眠っている人を起こすための空気中のわさびの理想的な濃度の発見とこれを利用した警報装置の開発」。日本人のイグ・ノーベル賞受賞は5年連続となる。

 受賞したのは、装置を開発した田島幸信・香りマーケティング協会理事長、今井真滋賀医科大講師、香りを扱うベンチャー企業のシームス(東京)の漆畑直樹社長、種村秀輝取締役ら。臭気発生装置を製作したエア・ウォーター防災(神戸市)の技術者の後藤秀晃さんと溝口浩一郎さんも共同受賞した。



Current Awareness Portal 9月30日

滋賀医科大学などの研究グループが「わさび火災警報器」でイグ・ノーベル賞を受賞 日本は5年連続の受賞に

2011年9月30日、滋賀医科大学の今井眞講師らの研究グループが、「人々を笑わせ、そして考えさせてくれる研究」に対して与えられる「イグ・ノーベル賞」を受賞したと報じられています。同グループには、わさびの匂いで火災を知らせる警報装置(同賞公式サイトでは“the wasabi alarm”とされています)を開発した功績で化学賞が贈られたそうです。これで日本人のイグ・ノーベル賞受賞は2007年から5年連続になるとのことです。なお、2011年のノーベル賞は10月3日に発表予定です。

Ig Nobel Prize
http://www.improbable.com/

(イグ・ノーベル賞受賞者の一覧)
http://www.improbable.com/ig/winners/

わさび イグ・ノーベル賞に(NHKニュース 2011/9/30付けニュース)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110930/t10015952591000.html

イグ・ノーベル賞、「わさび火災警報器」で日本人7人受賞(ロイター 2011/9/30付けニュース)
http://jp.reuters.com/article/oddlyEnoughNews/idJPJAPAN-23428320110930

参考:
E734 - 「文頭の“The”をどう扱うか」の研究がイグノーベル賞を受賞!
http://current.ndl.go.jp/e734

北海道大学はイグ・ノーベル賞関連論文を機関リポジトリで公開
http://current.ndl.go.jp/node/9034

トムソン・ロイター、2011年のノーベル賞の有力候補者を発表
http://current.ndl.go.jp/node/19138




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