72. 食品からの硝酸塩の摂取量が「植物工場」設置により増加してくる可能性あ? アトピーや糖尿病などが心配に

 2009年 1月30日掲載  2014年 1月15日再掲


野菜に含まれる硝酸塩が健康に被害を及ぼしているというニュースです。

農林水産省はホームページ中で日本人が摂取している硝酸塩の量が、一生とり続けても安全と決めている値を超えていると報告しています。

硝酸塩を多く取ると、体内でアミンと反応して発がん性のニトロソアミンに変化したり、インスリンを作り出すベータ細胞を傷つけて糖尿病を誘発したり、また花粉症・アトピー性皮膚炎・喘息などのアレルギー症状や正常眼圧緑内障その他の原因となると記してあります。

世界保健機構(WHO)の1日の硝酸塩摂取量は限界値は300mgとなっていますが、これは促成栽培のホウレンソウ100gに相当します。下表で確認ください。

なお、植物は硝酸塩を根から取り込み、それを原料に光の作用(光合成)でタンパク質を製造します。促成栽培においては、この硝酸塩の一部がタンパク質に変化することなく残るために高い値を示すわけです。

国は「植物工場」を促進すべく検討を始めました。「植物工場」とは、建屋内において土を用いることなく植物を水耕栽培し、太陽光に変えて人工光で植物を短期間に育てようとするものです。短期間で多くの野菜が収穫できる可能性はありますが、以下に示したデータからは野菜内に高い濃度で硝酸塩が蓄積する可能性の高いことは否めないと思います。

露地もの野菜とハウス栽培の野菜を比較した時、土に汚れ虫が食った露地もの野菜が見直される日もそう遠くはないかもしれません。



以下、各URLよりの抜粋

「植物工場」普及を本格化へ=新たな雇用の場に−経産・農水省
 経済産業省と農水省は、施設内で光や温度、水を人工的に制御して農産物を生産する「植物工場」の普及促進に本格的に取り組む。植物工場は、安全な国産農産物を安定供給できるとして注目を集めている。両省では、2009年1月に同工場研究のためのワーキンググループ(WG)を設置。食料自給率アップとともに、企業立地促進の観点から支援策を検討し、地域の新たな雇用の場に育てたい考えだ。
 建物内で農産物を育てる植物工場は、計画的な栽培・出荷ができる上、農薬使用も最小限で済み、「洗わなくても食べられる野菜」の生産も可能だ。このため消費者の「食の安全」志向の高まりを受け、食品メーカーなどによる設立が相次いでいる。

農林水産省 食品からの硝酸塩の摂取量
 硝酸塩の摂取量は、 ADIを上回る結果となっています。ADIとは、人が一生涯にわたり毎日摂取しても健康上悪影響がないと推定される化学物質の最大摂取量をいいます。化学物質の生体影響の強さの指標であり、通常、体重1 kg当たりの化学物質摂取量で表します(mg/kg体重/日)。

ADIに対する年齢別摂取量の比較(平成12年12月)



1-6歳 7-14歳 15-19歳 20-64歳 65歳以上
摂取量(mg) 129 220 239 289 253
対ADI比(%) 218.5 160.1 114.8 133.1 128.4

     硝酸塩のADI=3.7mg/日/kg-体重(硝酸イオンとして)


高子農園 無農薬野菜作りに挑戦して11年
重要なことは「ハウス促成栽培野菜には発ガンに関係する硝酸塩というものが多く含まれている」ということである。 硝酸塩は、窒素成分が土壌や野菜に吸収されて変化したもの。さらに植物が光合成することによって、硝酸塩はタンパク質に変化するのである。この硝酸塩が人体の消化管内で亜硝酸塩に還元され、肉や魚などのアミンと結合してニトロソアミンという発ガン物質を生成するのである。この物質が胃ガンを誘発し、腎機能を低下させたり、すい臓でインスリンを生成するベータ細胞を傷つけるのである。インスリン生成が少なくなると糖尿病になるというわけである。
 世界保健機構(WHO)の1日の硝酸塩摂取量限界値は300mgとなっているが、促成栽培のホウレン草100gに相当します。しかし、硝酸塩は飲料水をはじめいろいろな食品に含まれているので基準値を簡単にオーバーしてしまうのです。
 ハウスなどの施設では野菜の育成期間を短縮して1年中栽培できるようにしています。肥料の窒素成分は光合成によってタンパク質に変わるが、促成栽培は育成期間が短いために野菜が充分に光合成できないから大量の硝酸塩が残留してしまうのである。
 促成栽培の多い地域では慢性透析患者率が高く、糖尿病患者も多いという統計が出ていることに注目すべきです。

野菜が糖尿病をひきおこす!?
 硝酸塩の多い危険な生野菜を知らない間に摂り過ぎていると、体内のNOxを増加させることになり、根本的な治療が難しい花粉症・アトピー性皮膚炎・喘息などのアレルギー症状や正常眼圧緑内障や貧血状態や膵臓・肝臓・腎臓・甲状腺などの機能の低下を招いてしまいます


表1 青果物中の硝酸塩の含有量

(東京都の過去22年間のデータより一部抜粋)(mg/kg)
品名     最高値    平均値
チンゲンサイ 16,000  3,713
パクチョイ  11,000  8,200
ターサイ   10,000  4,310
コマツナ    9,000  3,571
パセリ     7,569  3,370
ホウレンソウ  6,200  2,651
シュンギク   6,070  3,012
ミツバ     4,900  2,871


 世界保健機構(WHO)は、硝酸塩の単独致死量4,000mgと定めている。

ホウレンソウの正しい選び方
  硝酸塩
(mg/kg)
ホウレンソウ 露地の有機栽培
(栽培期間:66日)
  690
施設の促成栽培
(栽培期間:29日)
3,000
コマツナ 有機表示 3,100
減農薬表示 6,100
チンゲンサイ 3,700




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