32. 日本流で行く自主参加型国内排出量取引制度 二酸化炭素の発生をより少なく

 2008年11月 7日掲載  2014年 1月11日再掲


 ヨーロッパ(EU)においては、企業ごとに二酸化炭素の排出量枠が定められ、この枠を超えて二酸化炭素を排出することができない。もし、この枠を超えてしまう場合には、二酸化炭素の排出枠に余裕のある企業から排出枠を購入する、排出権取引で超過分を埋め合わせることになる。

ヨーロッパにおいては文字通り排出権、温室効果ガスを排出してもよい権利の意味合いが強い。ヨーロッパでは義務であるから、排出権の手当てができずに枠を超えた場合に課せられるペナルティは大きい。

これに対して日本は排出量取引制度といい、決して排出する権利でないことを暗に強調している。まず、企業ごとに温室効果ガスの排出枠を割り当てることは、できないであろう。政府は、業界ごと(たとえば、電力、製鉄など)への温室効果ガスの削減をお願いしている段階である。



日本流自主参加型国内排出権取引量制度については次のURL(2008年5月16日)に詳しい。
この内容に沿って説明を進める。

http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=9705

2005年より開始されている本取組の内容は、

目的:
温室効果ガス費用の効率的な削減と、国内排出量取引制度に関する知見・経験の蓄積

補助:(補助制度は企業単独での取り組みであるので、排出量取引制度には当たらないと考えられるが。これが日本流である。)
温室効果ガスの排出削減に自主的に取り組もうとする事業者に対し、一定量の排出削減約束と引き換えに、省エネルギー等によるCO2排出抑制設備の整備に対する補助金を交付することにより支援する。

取引:(これが排出量取引制度です。本年採択の66件中に取引はないようです)
排出削減約束達成のために排出枠の取引という柔軟性措置の活用も可能とする。

効果:
2009年度事業分として、66案件の参加申し込みがあり、その企業名および取り組み、温室効果ガス削減量は次のURLにあります。

http://www.env.go.jp/press/file_view.php?serial=11409&hou_id=9705

66案件を合計した温室効果ガスの排出量は、年間3,130,262トン
補助金で設備を導入することにより、削減量は、年間 314,414トン
(約10%、温室効果ガスの発生を抑えることができる)
導入設備が効果を発揮する年数(平均耐用年数)は、14年
温室効果ガス(CO2換算)1トン当たりの削減費用、758円

発生してしまった温室効果ガスを削減するためには、温室効果ガスが二酸化炭素の場合には、トン当たり7,300円以上の費用を必要としますが、補助金を出すことにより、発生してくるはずの温室効果ガスを安価で発生させなくすることができます。

排出量取引(排出権取引)では温室効果ガスの絶対量が変わらない場合もあり得ますが、日本式補助金方式により確実に温室効果ガスが削減でき、しかも、温室効果ガス(CO2)1トン当たりの削減にかかる金額は、発生してしまったものを回収する費用の約1/10以下という良好な結果となっています。

なお、排出権取引は次のURLも参考にしてください。

http://highsociety.at.webry.info/200811/article_1.html




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