31. 日本でもCO2国内排出量取引の国内クレジット制度が本格始動 あいまいさも残るが

 2008年11月 8日掲載  2011年 1月11日再掲


 日本のCO2削減目標は業界ごとであり、各企業ごとの削減目標は現在のところはない。排出量取引を実施するためには、排出枠より多くのCO2を排出しているか? あるいは、まだ枠に余裕があるか? が重要となってくるが、その過少を決めるべき排出量枠が企業に割り当てられていない。

このような状況下で、企業が排出枠を有償で購入することは可能であろうか? 購入に踏み切った担当者は、製造コストの増大を招くわけであるから、決してほめられることはないし、その額が非常に大きい場合には、極端な場合には株主訴訟の可能性も浮上するのではないだろうか。


http://www.business-i.jp/news/kinyu-page/news/200811070018a.nwc

引用の始め
 二酸化炭素(CO2)の「国内排出量取引制度」の試行の内容が10月21日に決まり、参加企業の募集が始まっている。先行するEU(欧州連合)は、取引が急拡大しているが、日本では2005年に環境省が始めた独自の取引は低調だ。今回の制度は、将来の排出量取引本格導入をにらみ、条件や実際の取引での問題点を探ることが第一の目的だ。そのため、参加企業への自主性を重んじ、多くの企業が排出量取引に参加することを最優先にしている。

 業種ごとに削減目標を定めた日本経団連の自主行動計画参加企業が、試行制度の参加の中心だ。参加は任意で、自主行動計画や、これまでの実績に基づいて、削減目標を決めるが、各社は目標が達成できれば、余った分の排出枠を売り、不足していれば排出枠を買う。



                                      引用の終わり


そんななか、排出量取引の国内クレジット制度が本格始動した。本取組の真の目的は中小企業のCO2排出量低減を目的として、中小企業のCO2排出量削減分をのCO2排出権として他企業に販売を推進して行くものである。

まずは5件であるが、最初の2件は、東京大学およびその付属病院が削減した分をローソンが購入する。購入価格はこの資料ではわからないが、東京大学に入ってくるお金が、財務計算において関連設備費用+電力料金低減分を上回る場合には、東京大学がCO2の削減と引き換えに、新たな研究費用の入手先を生み出したことになる。


http://journal.mycom.co.jp/news/2008/11/07/038/

引用の始まり
国内クレジット制度は、京都議定書目標達成計画(平成20年3月28日閣議決定)において規定され、大企業等の技術・資金等を提供して中小企業等が行った温室効果ガスの排出抑制のための取組による排出削減量を認証し、自主行動計画等の目標達成のために活用する制度。





さて、東京大学よりクレジットを購入したローソンはというと、環境意識の高い顧客にこのクレジットを分割して販売する。購入した顧客は、この購入により特に日本国からの優遇措置はないが、購入した事実は、クレジット(排出権)を日本政府の償却口座へ移転したことを証明する証書として手元に残る。

ローソンは環境企業であるというブランドの構築を、購入顧客は自分が排出した二酸化炭素をオフセットしたという心の安心感を得ることができる、という次第である。


ローソンのカーボンオフセット

http://www.lawson.co.jp/company/activity/co2/index.html





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